転生男子と学園祭 その一
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「アーサーくん、来てたんですか? ご奉仕喫茶も忙しそうだし……良かったらここを手伝いませんか?」
この言葉の主は山田先生だ。
ご奉仕喫茶がどうなっているか様子を伺いにきたのかもしれない。
俺と山田先生を離す目的でクラス替えまでしたというのに、ここで俺が堂々とご奉仕喫茶を手伝うのはどうなんだろうな。
「織斑先生にバレたらまずくないですか?」
「大丈夫だと思いますよ?」
山田先生も確信が持てないのか疑問系になっている。
「ここにいたんですか、山田先生。なかなか職員室に戻ってこないのでどうしたのかと様子を見に来てみれば――なるほど、こういうことでしたか。まさかとは思いますが、私の目を盗んでベインズと乳繰り合うつもりではないでしょうね」
「ち、乳繰り合うだなんて、そんなことあるわけないじゃないですか。私がここに様子を見に来たら、アー……じゃなくて、ベインズくんがいたんです。折角ここにいるんですから手伝ってくれないかと言っていたところです」
やはり大丈夫ではないようだ。
山田先生は明らかに動揺しているように見える。
瞳は焦点が定まらすうろうろとしているし、身体は若干震えているようにも見える。
「ところでベインズ。お前はこんなところで油を売っていていいのか? 自分のクラスの仕事はどうした?」
「俺は午後から少し手伝うくらいですかね」
「……そうか」
織斑先生は考える素振りを見せた後、
「ご奉仕喫茶は見れば解かると思うがこんな有り様だ。まあ確かにこんな状態では手が足らんだろう。お前が良ければだが午前中ここを手伝ってくれないか」
学園祭で特に見ておきたいところがなかった俺は、いいですよと快諾をした。
こうして俺はご奉仕喫茶を手伝うことになったのだが、この話の提案者である山田先生は織斑先生に連行されていったため、俺は山田先生とロクに話すこともできなかった。
織斑先生と山田先生のあんな姿を見ていると、気まぐれに出歩く仔猫を親猫が探しにきたように見えてしまう。
無論、親猫が織斑先生で仔猫が山田先生である。
俺と山田先生は別に会うことを禁止されているわけでわないが、ただ必要以上に接触するなと言われている。
だから放課後の補習は今まで通り行われていた。
山田先生が言うには愛は障害が大きいほど燃え上がるらしく、接触を完全に禁止してしまうと俺が暴走する恐れがあるかららしい。
それはいくら何でも危険視しすぎだろうとは思うが、仕方のない部分もあるのだろう。
今までIS学園には男子などいなかった。
今年になってIS学園創立以来初めての男子生徒となる一夏が入学し、その後俺が転校してきている。
現在このIS学園に
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