第三章 始祖の祈祷書
第五話 竜の羽衣
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せずといった風情に、風竜の背中で眠っている。
そんな士郎たちの反応に驚きながらも、シエスタは、“竜の羽衣”について説明をし始めた。
「え、えっとですね。“竜の羽衣”というものは、それを纏うと空を飛べると言われているものなんです。元々は、わたしのひいおじいちゃんのものだったんです。話によると、ひいおじいちゃんは、ある日、その“竜の羽衣”を纏ってタルブ村にやってきたと、村の皆にいったそうなんです」
「へぇ〜」
「でも、結局誰も信じなかったんですけどね」
「? ……なんで?」
「誰もひいおじいちゃんがそれを纏って飛んでいるところを見ていなかったので、誰かがひいおじいちゃんに“竜の羽衣”で飛んで見せろと言ったそうなんですが、ひいおじいちゃんはなんだか色々と言い訳をして結局飛ばなかったんです。おまけに、『もう飛べない』って言って、タルブ村に住み始めたそうなんです。それから一生懸命働いてお金を作って、そのお金で貴族にお願いして、“竜の羽衣”に“固定化”の呪文までかけてもらって大事にしていたそうなんです」
「それで、結局それは今どこにあるのよ?」
シエスタの話しが進むごとに、やる気が目に見えて減っていくのが分かる態度をとるキュルケは、ため息混じりの言葉をシエスタに掛けると、シエスタは草原の奥、古びた赤い柱が微かに見える場所を指差した。
「“竜の羽衣”は、今はあそこにあります。案内しますので付いてきてください」
シエスタはそう言うと、士郎たちを先導するかのように、士郎たちの前を歩き始めた。前を歩くシエスタに、ルイズとキュルケ、そしてやっと風竜から降りてきたタバサがついていったが、士郎だけは、その場から動けなかった。
「あれは……まさか……」
シエスタが草原の奥を指差した瞬間、士郎の驚異的な視力は、しっかりとそれを見てしまい、驚きに立ちすくんでいた。
シエスタが指差す先にある寺院は、草原の片隅に建てらており、その前には、赤く塗られた丸太を四本使って組立てた門が建てられていた。
そして、門の奥の寺院は、ハルケギニアの寺院の壁のような、石などを組み立てて作られていたものではなく、板と漆喰で作られており、寺院の中に入るための出入口上には、白い紙と、稲で作られた紐飾りが飾られている。
それは、日本人である士郎にとっては、馴染み深い建物……神社にそっくりであった。
「なぜ……こんなものがここに」
士郎の呆然とした声が、薄暗く、ホコリがうっすらと積もった寺院の中に響く。
寺院の中は、板張りの一室であり、だいたい一辺の長さが十五メートル近くある、正方形の形をした寺院は、灯りが入る窓が少ないことから薄暗い。
そしてそんな寺院の中心には、寺院の中のほと
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