第三章 始祖の祈祷書
第五話 竜の羽衣
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方向に勢い良く向けた。
「キュルケ……タルブ村は反対方向だぞ?」
「……ぅ」
士郎の冷静なツッコミに、頬を羞恥に染めたキュルケは、東方に指を突きつけた形を動かさず、足をチョコチョコと動かすことで体の向きを変えると、若干上ずった声で宣言した。
「さっ、さあっ! い、行くわよタルブ村にっ!!」
「しっ、シロウさんっ!? どうしてここに?」
「いや、それはこちらのセリフだシエスタ。君こそどうしてここにいるんだ?」
「ど、どうしてって? だってここはわたしの故郷ですし? そういうシロウさんはどうしてここにいるんですか?」
「あ、ああ。ちょっと宝探しをしててな。ここにあるという“竜の羽衣”を探しに来んだよ」
「えっ!? “竜の羽衣”ですか?」
「あ、ああ。そうなんだが、何か知っているのか?」
「えっ、ええ。だってそれは……」
青々と広がる草原の中、士郎とシエスタは、互いに困惑しながらも互いの事情を話し合っている。そんな様子を、士郎たちの後ろ三メートル後方では、ルイズとキュルケが苦々しい顔をしながら睨んでいた。
なっ、なんでここにあの子がいるのよっ!? まだシロウと仲直り出来ていないっていうのにっ! 学院から離れてあの子からシロウを遠ざけられたと思っていたのにっ!!
あの子、確かシエスタっていったわね。まさか、この村があの子の故郷で、しかもちょうど帰省していたところだったなんて……何て運がいい子なのよ……。
どうしてこんな状況になったかというと、それは、ほんの一時間ほど前のことであった。
キュルケの宣言の翌朝、士郎たちはタバサの使い魔である風竜に乗ると、一路タルブ村に向かったのだった。
しばらくすると、眼下にタルブ村を発見したことから、士郎たちは近くにある草原に降り立ったのたが、その際には、皆怖いもの知らずなのだろうか? 草原に降り立った士郎たちを取り囲むようにして、士郎たちを不思議なものを見るかのように見つめていた。
しかし、キュルケたちが風竜からおりた際、杖が見えたのか、取り囲む村人たちの目に、恐怖と困惑、怯え等が伺えた。村人たちの怯えに気が付いた士郎は、危害を加える意思がないことや、ここに来た理由を説明しようと前に出ると、突然村人の中から、見覚えのある顔が飛び出してきた。
そして、そこから先の冒頭に戻るのである。
「えっ、ええ。だってそれは、もともとうちのひいおじいちゃんのものだったんですよ」
「「「え?」」」
シエスタの言葉に、士郎だけでなく、士郎たちの後ろで、聞き耳を立てていたキュルケとルイズも驚きの声を上げた。
ただ、一人だけ風竜の上に残ったタバサだけは、我関
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