第九十六話 剣道家その一
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久遠の神話
第九十六話 剣道家
昼休みにだった、今も樹里と共にいる上城の制服のポケットから携帯の着信音が鳴った。それでだった。
携帯をポケットから出して見てだ、彼はこう樹里に言った。
「銀月さんからだよ」
「あの人からなのね」
「うん、今すぐにそっちに行くからって」
「へえ、あの人からなの」
「何なのかな」
二人は今は自分達のクラスの校舎のすぐ近くにある食堂にいる、そこで二人共お好み焼き定食を食べているところだった。
丁度二人共食べ終わったところだ、それで上城はこう言った。
「じゃあ丁度いいタイミングだし」
「そうね、今からね」
「校門のところに行ってね」
「そうね、じゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
二人で校門のところに行った、するとそこにだった。
聡美が暗い顔で来た、そのうえで。
上城に対してだ、まずこう言ってきたのだった。
「あの、実は」
「実は?」
「中田さんがです」
「あの人に何かあったんですか?」
聡美の暗い顔からだ、上城はまさかと思って問い返した。
「まさかと思いますけれど」
「ご家族が手術を受けまして」
「そういえばそのことでお話が進んでいましたね」
その手術の結果がだとだ、上城は暗い顔になって再び問うた。
「まさかと思いますけれど」
「手術は成功しました」
「じゃあよかったじゃないですか」
とりあえずだ、上城はそう聞いてほっとした。それも心から。
「本当に」
「それで今朝目覚められました」
「いいことよね」
「そうよね」
上城は樹里に顔を向けて彼女に話を振り樹里もその通りだという顔で応える。
「どう聞いても」
「中田さんのご家族が助かって」
「こんないいことないわよ」
「あの人も戦う理由がなくなったり」
「はい、確かにです」
中田が戦う理由はなくなった、それは事実だとだ。聡美も認めた。
だが彼女は暗い顔のままだった、その暗い顔で言うのだった。
「ですが。剣士は戦いを降りる時に最後の闘いを行います」
「それで降りるんですね」
「そうなります」
「じゃあ中田さんもですね」
「そうです、闘うことになります」
「そうですか、中田さんもやっと」
望まぬ戦いから解放される、やはりいいことだと思う上城だった。そしてその思いを言葉に出して言うのだった。
「これでご家族と幸せに過ごせますね」
「ですがその前に」
「闘いですね」
「問題はその相手です」
上城をじっと見据えての言葉だ、その目を横から見てだった。
樹里は察した、それで彼女も暗い顔になってそれで上城に言った。
「上城君、まさか」
「うん、僕もね」
上城も察した、それで言うの
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