平和な時を
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れてグレイが持ち上げたのは、グレイが付けているネックレスだった。
レイヴと呼ばれる十字架型の石。
それをメープルは外してほしいと言っている、が。
『何で?』
全員の声が揃った。
メープルはあうう・・・と小さく呟きながら、申し訳なさそうに呟く。
「私・・・吸血鬼って魔法を使うんです。鍵を使って吸血鬼を呼ぶ、星霊魔法の吸血鬼バージョンなんですけど・・・だからか解りませんが、その・・・“十字架が怖い”んです」
吸血鬼の弱点は十字架とニンニク、銀。
そしてその吸血鬼を呼ぶメープルも、吸血鬼と似た体質だという事だ。
「だからグレイさんが怖い訳じゃないんです・・・でも、グレイさんってよく服を脱いでてその十字架が見えて・・・しかも銀で・・・あうううう・・・」
因みに今もグレイは上半身何も着ていない。
いつからか、と言われれば、冒頭からだ。
「それに銀もダメで・・・銀色も苦手なんです。それからニンニクも・・・すいません、いつも悲鳴ばっかり上げちゃって」
「じゃあクロスはどうなんだろうな?」
「はうあっ!十字架ですか!?」
「いや、俺の名前だ」
「あ・・・名前なら何とか・・・」
おどおどと瞳を揺らすメープル。
すると、バックの中で軽い音楽が響いた。
「魔水晶が・・・すいません、ちょっと失礼」
バックから小型の通信用魔水晶を取り出す。
小さい魔法陣が展開し―――――
『メープル!アンタどこほっつき歩いてるんだい!さっさと帰ってきな!』
「は、はい先生っ!今すぐ帰りますぅっ!」
凄い剣幕のポーリュシカの声が響いた。
ビクゥ!と大きく震えたメープルは魔水晶をバックに戻し、肩から掛ける。
そして頭を下げた。
「すいませんっ!先生に怒られてしまうので・・・それではっ!」
怒られてしまう、というかもう既に怒っているのだが、メープルは慌てて走って行く。
静まり返ったギルド。
その静寂を打ち破ったのは――――
「お腹空いたー」
『今言うかそれ!?』
空気クラッシャールーだった。
全員のツッコミが入った瞬間、ぐぅーっとお腹が鳴る。
「アルカー、今日の夕飯何ー」
「そーだなー、何にすっかー」
呑気な会話を繰り広げるルーとアルカ。
そのアルカはいつも通りの、どこにでもいるような青年へと戻っていた。
平和そのものの会話。
――――――だから、気づかない。
その平和を砕こうとする魔手が、ゆっくりと、確かに伸びてきている事に。
この時は、誰も気づかなかった。
これから
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