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Element Magic Trinity
平和な時を
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か?」
「でもティアが恋なんて僕も嫌だよう・・・一匹狼ティアがいなくなっちゃうぅ・・・」
「ヴィーテルシア、お前は?」
「・・・」
「オイそこ、明後日の方見て現実逃避すんな」

しゅん、とルーが項垂れる。
アルカがヴィーテルシアに声を掛けると、ヴィーテルシアは明後日の方を見て遠い目をしていた。

「でも、ティアが恋したってだけでここまでになる?」
「なるんだよ、ティアだから」
「え?」

ルーシィの呟きを耳で拾っていたアルカが答える。

「アイツは絶対に人に心を許さない。で、誰にも開けられねぇ。何重にも鍵かけて、絶対誰にも解けねぇパスワード付けてるみてェにな。だからオレもルーも近づけねぇし、近づかない。近づいてほしくねぇってのが解るからだ」

珍しく真剣な表情で語るアルカの言葉を、ルーシィは黙って聞いていた。
この3人には、何かがある。
ルーシィ達と繋がる絆とは何かが違う、もっと強くて決して潰す事が出来ない何かが、3人を繋げている。

「これはオレだけかもしれねぇが、好きな相手には出来る限り自分の全てを知ってもらいてぇモンだ。オレだってミラにゃ知っててほしいし、ミラの事をもっと知りたいとも思ってる。つまりよ・・・ティアが誰か好きになったとしたら、その相手は知ってるって事だ」
「知ってるって、何を?」

ルーシィは問う。
そして、目を見開いた。
その時のアルカの表情を、忘れる事は出来ないだろう。
真剣で、辛そうで、悲しそうで、寂しそうで、脆く歪んでしまいそうな、愁い。




「オレやルーだってカケラも知らない、ティアの過去を」




過去。
それはルーシィも知らなかった。
まだギルドの中では新人の類に入るルーシィだが、ティアと行動する事は多い。
だが・・・ティアの過去は知らない。
ティア同様に多く行動するナツやグレイ、エルザ、ルーの過去は知っていても、ティアは何も語らず。
それはアルカにも言える事なのだが―――ルーシィは何故か、思っていた。
目の前で愁いを浮かべる赤髪の青年は、その口を決して開かないと。

「別に知りたいとは思わねェ。それでアイツが傷つくなら黙っててもらって構わない。生憎、オレには女を泣かせる趣味はねぇからな」

愁いが消える。
からからと笑うアルカの笑顔は、どこか遠くにあるように感じた。

「だけどな・・・少し嫉妬しちまう」
「嫉妬?」
「その相手がどれだけの期間ティアといたかは知らねぇが・・・オレはその相手がティアの全てを好きだとは思えねェ」
「え?」

その声に、棘が混じる。
その瞳に、鋭さが宿る。
そこにいるのはアルカのはずなのに、別人に見えて。
ルーシィも、恋人であるミラも息を呑んだ。

「当然だろ?」


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