第五十七話 水中戦
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海に飛び込んだセアは必死に双魚宮の紋章が刻まれた魔石を探す。
「……お前、それほど必死に探すとはこれが聖石だと知っているようだな」
水の中ではっきりとした声が聞こえた。
驚いてセアはそちらを見る。
そこにはギャンスが双魚宮の紋章が刻まれた魔石を持ってまるで水中ではないとでもでいわんばかりに直立に浮かんでいた。
「まぁいい。喩え知っても所詮は脆弱な人間。消すのは容易い」
そういうとギャンスは持っていた双魚宮の紋章が刻まれた魔石を懐にしまう。
そして腰に下げてある細剣を抜き、まるで放たれた矢のようにギャンスはセアに突っ込んできた。
水中で思うように身動きが取れないセアは右腕を細剣で切り裂さかれた。
セアの右腕の傷口から出た血げまるで煙のように海中に広がる。
海中にいるせいで凄まじい痛みがセアの右腕を襲ったがやがてミストによって修復される。
その様子を見てギャンスは目を見開く。
「ただの人間じゃなかいようだな。聖石のことも知ってるようだし、もしや……オキューリアの手先かッ!!」
「ボゴッ!」
警戒の色を露にしてギャンスが叫ぶ。
意味不明な問いにセアは一瞬海中であることを忘れて問い返そうとした。
しかし言葉の変わりに空気が海中に出て行き、海水が口に流れ込む。
『それならば、全力で挑むまでッ!!』
そういうとギャンスは首飾りの宝石を掴んだ。
その宝石は眩い光を放ち、あたり一面を朱色の光で染める。
やがてギャンスの両手は巨大な蟹のハサミのようになり、甲殻類のような殻を得る。
ギャンスの体は人外のそれへと変貌を遂げた。
セアはその姿を見て目を見開く。
(まさかあれは断罪の暴君ゼロムス!?いままでの奴とは違ってグローリア家に伝わる御伽噺の容姿と差異を感じるが……)
ギャンスが変貌している間にセアは海面近くまで空気を吸いに近づいていた。
だが、変貌したギャンスの姿にある闇の異業者との共通点を見つけて驚いていたのである。
《いくぞ、傲慢なるオキューリアの手先よ!》
そうおぞましい声で叫ぶとギャンスは右手をセアの方に向ける。
ハサミの間に膨大な紫色の力がたまりだす。
セアはそれに気づいて必死に客船の方に当てまいと海賊船の方に泳ぐ。
ギャンスはいわば自分達の船に被害が及ぶに間関わらず、躊躇わずにその力を解き放つ。
その膨大な力は一筋の閃光となりセアの鼻先を掠めて、海賊船を貫いた。
海賊船の中心部に穴が空き、がらがらと船は崩れた。
「ブハァッ!」
セアは海面に出て、海賊船の残骸の上にあがる。
そして思いっきり深呼吸する。
船の崩壊から生き残った海賊がセアに剣をむける。
「てめぇ、なにしやがった!!」
「……下に魔物がいる。そいつのせいだ
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