第五十七話 水中戦
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情報交換をするべきだな……》
そう呟くとギャンスは光の届かない暗い深海へと消えていった。
客船の甲板では海賊達が混乱のきわみにあった。
「北から帝国水軍の船が10艘以上来てる!船はさっきの変な光でバラバラになっちましたし、どうしやす!?」
海賊は現状を船長に告げながら、指示を求める。
「チィ、この船を奪う!!そしてから逃げるぞ!!」
船長は悲鳴のように部下達に命令する。
「で、ですがまだこの船に乗ってる水兵がまだ20人近くいやすよ?間に合いますか?」
「無駄口叩いてる暇があんなら敵を一人でも仕留めろ!!この役立たず共がッ!!」
「へ、へい!!」
部下達はクモの子を散らすようにバラバラになって水兵達に襲い掛かる。
だが、ヤケクソになって冷静を失った海賊達は水兵達の相手にはならず、徐々に討ち取られてゆく。
その状況を見て勝ち目がないと船長は見て、小船をおろして一人で逃げ出そうとする。
が、そのことに気づいた水軍士官が海賊達の壁を突破して船長の背後に斬りかかる。
船長は咄嗟に防御しようとしたが間に合わず左腕に剣が食い込む。
「部下を見捨てて自分だけ逃げようとは大した船長だな」
「ク、クソがぁ」
「おとなしく縄につけ」
「……年貢の納め時ってか」
船長はそう呟くと狂ったように笑い出した。
水軍士官はその奇怪な行動に警戒をする。
「ハハッ、なんで海賊なんぞ俺がしてるんだろ」
そう呟くと何故だか自分の人生に諦めがついて船長は無表情で剣を構えた。
水軍士官は捕縛は無理だと剣を振り下ろす。
だが、船長は左腕を犠牲にして間合いに入り込み士官の腹を蹴飛ばして馬乗りになる。
トドメをさそうと右手に掴んである剣を振りおろそうとした瞬間、船長の体は凍りついた。
「フランの方が早かったか」
バルフレアは船長を背後から{ブリザガ}で仕留めたフランを見てそう呟きながら銃をおろした。
水軍士官はしばし呆然としていたが気を取り戻して自分の上に乗っかっている氷人間の首を斬り飛ばして晒した。
「お、お頭!!」
「お頭がやられた!!」
「ど、どうするよ!?」
「し、しるか!!」
自分達の船長の首を確認した海賊達は完全に混乱して口々に指示を請う。
だが、もう既に彼らに命令を下すべき船長も甲板長もここにはいなかった。
そうしてオロオロしている内に帝国水軍の軍船が客船に接舷して水兵達が乗り込んでくる。
「海賊共に告ぐ!命惜しくば武器を捨てろッ!!さもなくばこの場で斬殺するッ!!」
水軍将校の怒声が響き渡る。
既に自分達の旗頭を失った状態である海賊たちはおとなしく将校の命令に従った。
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