第五十六話
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あっても、それ以降は必要ない。
ただひたすらに、目の前の敵と戦っていたはず。
「御巫の八神よ。和合の鎮めに応えて、静謐を顕し給え・・・!」
精神感応力を最大限に高めて、巫女の和魂を放射する『御霊鎮めの法』。
私はそれに少しばかりのアレンジを入れ、体から放たれた光を十本の触手にする。かなりの負担だけど、時間をかけてしっかりと呪力を練れた分、安定して行える。
とはいえ、これは一日に出来て三回。それも、かなりの無茶をしてようやく、くらいのもの。
「この一回で決める・・・!」
私はそう決めて、一気に九本の触手を神に向けて放つ。
向こうもそれを多少は危険だと思ったのか手を出してきて・・・それをまとめて、一本でかき消す。
次に本人達が来たので、私はいい加減あの姿にいらいらしていたこともあり、一人当たり二本使ってその権能を解除する。
それでも向かってきたのを、二本の触手で押しとどめる。
これで、道が出来た!
「さっさと出てきなさいよ、兄貴!」
その道に沿って触手を進ませて、目的のもの・・・最初から消える様子のない、巨大な布に触れさせ、その権能をかき消す。
「ナイス、氷柱!」
その結果出てきたのは、全身ボロボロの兄貴と、布が代わって出てきた神に、兄貴に蹴飛ばされて出てきた神。
「ちょ、兄貴!?どうしたのよ、その傷!?」
「いや、ちょっとあの中で色々あってな・・・治癒の霊薬、ある?」
「え、ええ・・・」
私がポケットから小さな瓶を取り出して渡すと、お兄ちゃんはそれを一気に飲み干す。
その瞬間に傷が治ったから・・・ああ、また沈まぬ太陽を使ってたんだ。
あの権能を使ってる間、お兄ちゃんは死を一切恐れなくなるから、かなり心配になるんだけど・・・
せっかく、医薬の酒が増えたんだから使う機会が減るかな、って思ってたのに・・・
「ふぅ・・・んじゃ、やるとしますか。霊視は?」
「あ・・・今出てきた二体の分まで出来てるわよ」
「ん、よし。ならいけるな・・・民の知は我が知。我が知は我が知。我はこの知を用いて叡智を手にせん」
おそらく、今お兄ちゃんは私の頭の中を覗いて、戦っている神の知識を得た。
「さて、俺はかなり頭にきてるんでね。何が何でも五柱全員殺させてもらうぞ、狸ども・・・!」
そして、二振りの槍を向けながら目の前にいる五匹の狸・・・
『芝右衛門狸』、『蓑山大明神』、『二つ岩大明神』、『金長大明神』、『本陣狸大明神』の五柱の神に向けて、そう宣言した。
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