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少年と女神の物語
第五十六話
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 どれもが同じもの。一つだけから何か違うものを感じ取ることは、なかった。
 立夏姉様ほどではないけど、わたしだってそれなりの確立で霊視が降りてくる。
 まつろわぬ神が作った異空間で、それも恐らくは神そのものが目の前にいる。
 その状況で、わたしがここまで望んで違いが分からないなら・・・この三つは、違いを気にするまでもないくらいには同じもの、ということだ。

「くそったれ・・・さっさと正体を見せろ!」
「それはこっちの台詞だ、この偽物!」
「そう言うテメエらが偽物だろ!」

 それに、戦いは拮抗している。
 全く同じだけの力を持っているのだろうか、状況に変化が訪れない。

「どうしよう・・・電話も通じないし」

 異空間なんだから当然といえば当然だけど、外に連絡は出来そうにない。
 出来たらアテ姉様に連絡を取って、どうにかしてもらうんだけど・・・それが出来ない以上、私がお兄ちゃんを助けるしかない。

 でも・・・そのお兄ちゃんが、

「・・・はぁ、なにやってんのよ、あの兄貴は・・・」

 ここまで来ると、本気で呆れるしかない。
 とはいえ、神と直面してるこの状況で呆れてられるあたり、なんだか麻痺して得る気はするけど。

「「「氷柱!」」」

 そんな感じで考え事をしていたら、三人から大声で呼ばれる。
 そして・・・

「「「俺が、本物の」」」
「ああ、もう!うるさいわよ!!」

 私はつい、怒鳴り声を上げた。
 ああもう、人が考え事をしてるところに・・・

「つ、氷柱・・・?」
「うるさいのよ、人が考え事してるときに!」
「いや、でも・・・」

 ああ、こいつらは・・・!
 なんで、神のくせに(・・・・・)こんなに私に構うのよ!
 ・・・そう憤っていたら、霊視が下りてきた。
 大名行列と・・・それによって妻を殺された神。
 大名行列と・・・それによって殺された神。
 大名行列と・・・それを利用して狐を殺した神。

 ああ、それでか・・・それで、コイツらは私のことを気にしてたんだ。

「な、何を言ってるんだ、氷柱?この状況で考え事なんて・・・」
「考えもするでしょう?どこにも兄貴がいないんだから」
「いや、だから・・・」
「ああ、もう!うるさいわね!いい!?」

 私は呪力を練り上げ、ここまでの時間に練り上げていた呪力と混ぜ合わせて、さらに体内にあったものも混ぜ合わせる。
 これだけあれば・・・

「私の大好きなお兄ちゃんは、家族に対してわざわざそんなこと、絶対に言わない!!」

 そう、あの人はそんなに弱い人じゃない。
 それに、家族に対して絶対的な信頼を置いてる。
 だから・・・本当にあの中にお兄ちゃんがいたのなら、私に心配の一言ぐらいは
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