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東方小噺
出張万事屋、兎が導く魔女の家
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ろそれでもまだ雇ってくれている紅魔館の度量の広さというべきか。

「今年に入って二回一回休みです。たまに館の主の妹さんがいるんですけど、強制遊び相手になると乱数無し確1で落ちます。現実から回線落ちです」
「やめればいいんじゃないの。辛いなら逃げるのもありよ」
「ご飯おいしいから嫌です」
「帰れ」
「まあこれ全部友達の話なんですけどね。アホの子で可愛いです」
「なら何故きた」

 妖精には明確な死がない。自然現象の顕現みたいなものだからピチュッても一回休みでしばらくすれば復活する。それに頭も悪い。恐怖というものが薄いのだろう。
 食欲>>他 実にシンプルである。
 ガタガタと椅子から立ち上がる音がする。

「愚痴れて楽になりました。ありがとうございました」
「友達によろしく言っとくといいうさ。私の幸運なら5vくらいなら道具なしでも一発うさー」
「はい。チルノちゃんに言っときます」
「あなたに必要なのはプライバシーという言葉だと思うわ」

 気配が遠ざかっていく。マトモに対応できたかは知らないがこんなものでいいのだろう多分。
 所詮自分は客寄せ兎。悪評が立たない程度に適当にやればいいのだ。

 昼寝でもしようかとてゐが思っているとすぐ二人目が入ってきた。意外に盛況なのだろうか。

「冥界で庭師をしている妖夢といいます。私の事は内密でお願いします」

 ならば何故名乗った。

「最近私の主の食事で悩んでいます。それでここにきました」
「聞いたことあるよ。確か大食いなんだっけ」

 夜雀やら鈴仙やらが食べられそうになったとか何とか。
 冥界の主といえば亡霊の姫のはずだが死んでいるのに食欲があるあたり色々と不思議だ。食べたものは一体どこに行っているのだろう。幽霊と亡霊で何か違いがあって亡霊は特権でもあるのだろうか。
 
「ああいえ、違うんです。というよりも幽々子様は世間一般で言う大食いではありません」
「そうなの? というかサラッと主の名前言ったわね」

 気にするだけ無駄なのだろう。まあそれよりも相談内容の方だ。

「幽々子様は大食ではなく美食家という方が近いのです。美味しいものや珍しいものが好きなだけで沢山食べるのが好き、というわけではありません。恐らくですが夜の異変の時のことが変に伝わったのが原因でしょう」
「夜雀に月の兎。確かに珍しいっちゃ珍しいわね。珍味や美味が好きなだけで量を食べてしまうのは結果ってこと?」
「はい。幽々子様は量より質の方です。質さえあれば少食と言えるほどの量で満足します。質の良いものが多くあるとその分頑張って食べてしまうのは確かですが」

 確かに美味しいものがあるのに食べられないというのは辛い事だ。多少無理はしても食べてしまうだろう。
 グルメと大食い
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