暁 〜小説投稿サイト〜
東方小噺
出張万事屋、兎が導く魔女の家
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 チッチッチと魔理沙が指を振る。てゐはすごいイラっとした。

「てゐにも手伝って欲しいんだ。お前、幸運をくれるからって里の人から好感度高いでしょ」
「それはそうだけど……つまり呼び込みパンダってこと?」
「パンダじゃなくて兎だぜ」

 自画自賛ではなく確かにてゐは妖怪ながら余り人間から嫌われていない。というかむしろ好かれている部類だ。
 何せ出逢えば幸運になれると言われている兎だ。医者をしている永遠亭の一員ということで悪印象もそこまでないだろう。
 幸運をくれる兎の悩み相談所。普通に人気が出そうである。

「里の人に知ってもらうだけなら親に頼んだらどうなの。確か魔理沙の実家って大きな商人の家だった気がするけど」

 てゐの言葉に魔理沙は何とも言い難い表情をし、言いづらそうに口を開く。

「親に頼むってのはちょっと……魔法使いを目指すあたりでいざこざがあってさ。家を飛び出してるっていうか」
「ああ、思春期だったのね」
「私の葛藤を安い感じで言わないでくれる?」
「ちなみに思春期って春期発動期の事で、春期って性欲のことみたい。魔理沙は辛い葛藤があったのね」
「私がエロいみたいに言わないでくれるか。しょっちゅう盛る兎のくせに」
「一年中発情期の人間に言われたくないわね」

 まあ魔理沙が実家に頼めない理由は分かった。他人の家庭事情に無意味に首を突っ込むほどてゐは暇ではない。

「で、それをして私の得は何よ。只働きはごめんだけど」
「永遠亭の評判が上がるわね。お前の上司たちの為になるんじゃないか」

 ふむとてゐは考える。確かにそれはある。医者にかかろうにも迷いの竹林の奥にあるからと気が引けてしまう人も中に入る。そういった人たちを呼んで新規顧客開拓というのもひとつの手である。

「それに悩み相談だから色々弱みが握れると思う」
「よっしゃ乗った!」

 てゐは即決した。













 そんなこんなでてゐは人間の里にいた。
 場所は予め魔理沙が手配していたらしい。里の一角にある空家を少し改装して空間を整えた。
 外には看板が立っており中は二つに分かれている。一方は魔理沙の悩み相談所兼何でも屋でもう一方がてゐの悩み相談所だ。

(うさー。ノリで引き受けてしまったわ)

 今更ながらにてゐは少し後悔していた。今後はノリで行動することを控えねばならぬと少し反省する。
 そも何故こんなことをしているのか考える。実際、魔理沙の考えはさほど悪い案ではないのだ。
 魔理沙の何でも屋に人が来ない理由は立地もあるが知名度も大きく関係している。そういうことをやっていると知られれば人も来るようになるだろう。
 それに好感度もある。素性の知れない相手の店に始めていく、とい
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