暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と京都の狐
第二幕その九
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「これはね」
「へえ、歌舞伎なんだ」
「そう、石川五右衛門もね」
 王子はこの人のこともお話します。
「日本の大泥棒だよ、かつては忍者だったね」
「あっ、忍者だったんだ」
「それが大泥棒になったんだ」
「それでその五右衛門さんがなんだ」
「今のチーチーみたいにね」
「この山門に登ってなんだ」
「絶景かな、絶景かなって言うんだ」 
 歌舞伎の舞台の中でだ、そうするというのです。
「それで下にいる羽柴秀吉と向かい合うんだ」
「羽柴秀吉ってあの」
「うん、日本の英雄の一人だよ」
 まさにその人とだというのです。
「向かい合うんだ」
「ふうん、そうなんだ」
「丁度今のチーチーと僕みたいにね」
「じゃあ僕が五右衛門さんかな」
 チーチーは王子の言葉を聞いて考える顔になってこう言いました。
「それだと」
「そうだね、僕が秀吉だね」
「僕泥棒なんかしないよ」
「そんなことしたら駄目だよ。五右衛門さんは最後釜茹でにされるしね」
「煮られて殺されたんだ」
「そう、その秀吉さんの宝物を盗もうとしてね」 
 王子はチーチーを見上げつつ言います、山門は高くてそしてとても綺麗です。その風情の中にあっての言葉です。
「それで捕まってね」
「釜茹でにされたんだね」
「そうだよ、だからチーチーもね」
「盗みなんかしないで」
「これまで通り真面目にね」
「うん、先生と一緒に暮らしていくよ」
 チーチーもこのことを約束しました、そしてでした。
 一行は南禅寺の中で湯豆腐を食べました、そのお豆腐がです。
 とても美味しくてです、ホワイティも言いました。
「いや、噛めないけれど」
「それでもだね」
「ええ、美味しいわ」
 こう言うのでした。
「とてもね」
「普通のお豆腐と違うね」
「全くの別ものだよ」
 そこまで違うというのです。
「何か幾らでも食べられそうだよ」
「あれっ、お豆腐は確かに食べやすいけれど」
 ダブダブも湯豆腐を食べながら言います。
「ここまで食べやすいものかしら」
「ううん、何かこのお豆腐だとね」
 どうかとです、先生も言うのでした。あったかい湯豆腐を食べながら。
「本当に幾らでも食べられるね」
「不思議ですよね」
 ダブダブは先生にも言います。
「このお豆腐って」
「こんなお豆腐があるんだね」
「神戸のお豆腐とはまた違いますね」
「南禅寺のお豆腐は特別なんだ」
 王子もです、そのお豆腐を食べつつ皆にお話します。
「幾らでも食べられるんだ」
「そうなんだね」
「そうだよ、だからここでね」
「うん、お腹一杯だね」
「食べてね」 
 こう皆に言ってです、湯豆腐を勧めるのでした。皆で湯豆腐を食べてそうしてなのでした。南禅寺を出ますが。
 ここで、です。ジップ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ