第29話 第二次グリニア星域会戦
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利は覆しようがない。
オルゲン分艦隊の他にラート、ハルツァ、ナイアルの3人の少将が率いる分艦隊2700隻に半包囲されてから部隊の半数を失うまであまり時間はかからなかった。
「第一独立機動部隊、損傷率7割を超えました!」
「さすがにこれ以上は持たんか……だが、時間は十分に稼げた」
第一独立機動部隊への対処にケンプ艦隊は全軍の2割以上を次ぎ込む破目になった。
その隙をニトラスは見逃さず、分断された戦力の再集結を行いつつもケンプ艦隊の薄い点に正確に砲撃を撃ち込んでその勢いを殺していく。
これにより、ルフェール第三艦隊は崩壊の危機を免れた。
「さて、一先ず危機は脱したものの……」
戦況は依然として不利であり、両隣の第五、第七艦隊はアイヘンドルフ、パトリッケン艦隊の攻勢に押されてこちらを援護出来る状況にない。
加えて、帝国軍には予備として後方に下げたヴァーゲンザイル艦隊が未だ8500隻程の規模で存在する。
ニトラスが『撤退』の二文字を真剣に検討し始めた時、
「第十三艦隊です、第十三艦隊が到着しました!」
「彼我の戦力差は逆転した。この好機を逃すな!」
第十三艦隊12000隻の増援を得たルフェ−ル軍は積極的に打って出る。
逆に、再度の攻撃を仕掛けようとしていたケンプ艦隊は機先を制された形となった。
「敵の援軍だと!? くっ……このタイミングで現れるとは!!」
ケンプ艦隊は既に突撃の態勢に入っており、今更陣形の変更など出来ない。
嫌でもこの形で激突しなければならないが、その場合数で劣るケンプ艦隊が不利である。
「ならば、増援が加わる前に砲火の一点集中で敵本営を叩く。火力の高い戦艦と砲艦を前衛に集中配備しろ」
ケンプにとってこれは賭けであった。
第十三艦隊の戦線参加前に総司令部を潰せればこのまま優位を維持できる。
が、出来なければジリ貧となり兵力を悉く消耗し尽くすだろう。
「配備、完了しました」
「よし、全艦……」
「後方に艦影多数! これは……ホルツバウアー艦隊です!」
旧アルノーラ王国領にて海賊退治に勤しんでいたホルツバウアー上級大将は、会戦勃発の報を受けグリニア星域へと急行してきたのである。
互いに援軍が現れたことで両陣営は迂闊な行動を行えなくなり、戦場は膠着状態となった。
そして、どちらからともなく軍を退き始めた。
これ以上の交戦に意味は無いと双方の司令官が判断したためである。
ここに、第二次グリニア星域会戦は終結した。
* * *
7月15日8時17分〜同17時21分にかけて行われた第二次グリニア星域会戦は、全体で見ると然したる影響を与えなかった。
強いて言えば、この会戦が起きたことでルフェール軍の再編成が遅れ
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