第29話 第二次グリニア星域会戦
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を止められたのは単に奴の実力不足だ。それに勝手に退きおって……あの無能者が!!」
ケンプは吐き捨てるようにヴァーゲンザイルを罵る。
能力の有無はともかく、勝手な作戦中断は明らかにヴァーゲンザイルの失点である。
「もう奴には頼らん。この上はヴァーゲンザイル艦隊を戦力外とする」
当てにならないものは戦力として数えない――それがケンプの判断であった。
「しかし、そうなると戦力差ではこちらが不利になりますが」
「多少の不利は承知の上だ。それに先ほどの戦闘で敵の錬度は分かった。それ程低いわけではないが、我が方に比べると劣る。で、あれば正面からの力押しも一つの手だろう」
ケンプはそこで一度言葉を切り、命令を発する。
「全軍に全面攻勢を伝達しろ」
帝国軍の全軍が攻勢に出る。
銀河帝国軍の各艦隊の司令官は幾度の戦闘を経験してきた歴戦の実力者たちであり、彼らが一度本気になればルフェール軍司令官たちの及ぶところではなかった。
「スーン・スール中将の部隊が敵を突き崩しつつあります」
「エマーソンに連絡を入れろ。『敵を分断せよ』とな」
ケンプ艦隊の副司令官エマーソン大将はかつて自由惑星同盟軍の総旗艦リオ・グランデの艦長としてランテマリオ星域会戦などを戦った歴戦の将である。
退役間近の年齢ではあるが、その部隊運用には定評があった。
「今が好機だ。敵の中央に食い込み、一気に食い破れ!」
エマーソン大将の分艦隊は第三艦隊を真っ二つにするかの如く亀裂を入れていく。
「いかん、このままでは第三艦隊は分断される!」
第三艦隊の惨状に、ニトラスは慌ててジーグ隊とミクロン隊4000隻を援護に向かわせるが時既に遅かった。
第三艦隊は2つに分断され、各個に撃破されていく。
「仕方無い、あの部隊だけは使いたくなかったのだが……第一独立機動部隊に出撃を命じろ」
ルフェール軍の中で最後尾に位置していた部隊――第一独立機動部隊に司令部より出撃命令が発せられた。
300隻程で構成されるこの部隊――第一独立機動部隊――は、その全艦が痛艦である。
元々、ルフェールのような国家で軍艦にこのような塗装をすることは禁じられていたのだが、ミンディア星域会戦において銀河帝国軍の痛艦隊が大活躍したことから風向きが変わった。
一種の実験のような形で、痛部隊の創設が認められたのである。
この第一独立機動部隊の働きは凄まじく、自身の3倍の兵力を誇るオルゲン分艦隊1000を早期に撃退するなど目覚ましい活躍を見せた。
「僅か300隻余りでこれ程の戦果を叩きだすとは……厄介な敵が現れました」
「だが、所詮は寡兵に過ぎん。大兵力で包囲して殲滅せよ」
そう、如何に第一独立機動部隊が奮戦しようと兵数の不
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