第三十六話「元気万倍、レイパンマン!」
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呑みできますから!
「ううん、美味しかったよ! ごちそうさまでした!」
それは本当。多少味が薄かったり濃かったり、土とかが付いていたりしてたけれど、そんなのは取るに足らない些事だ。
あのお弁当からはお姉さんの真心が感じられた。五つ星料理より美味しく感じられたんだ。
そして、どこか懐かしい味……。
それは、毎日味わっていたお姉ちゃんの料理を彷彿させた。
お姉ちゃんの料理とは似ても似つかないけど。味より料理に込められたモノが、お姉ちゃんが作るそれととても似ていたんだ。
おかげさまで。
「HPは満タン。MPも満タン。ラストエリクサーもびっくりの回復量だじぇ!」
今ならアルテマ千発フルコースもお茶の子さいさいだぜ!
「ゥゥゥゥゥゥゥゥ……」
獣の呻る声にそういえばと顔を上げた。
そこにはデッカイ空飛ぶ蛇が睥睨していた。
「おおぅ、そうだった。そういえば戦闘中だったっけ?」
今思い出したけど、僕の体ボロボロだし。というか、ふくらはぎから血がどばどば出てる……。とりあえず修復、と。
虚現で『傷ついたという事実はなかった』ことにする。うん、これでよし。酸性ビオ○で磨き上げた瑞々しい肌になった。
「なっ、無詠唱の治癒魔術!? あの怪我を? いえ、それにしては魔力の反応が……」
驚き目を見張るお姉さんにとりあえずピース。
ニュータイプのレイ君には自動修復機能が搭載されているのです。お値段なんと十万八千円! 今ならポイント五パーセント還元!
肩をぐるぐる回し、屈伸する。足首や手首も回して準備運動して、と。
「君、早くここから逃げなさい!」
見ればお姉さんが怖いくらい真剣な顔で空飛ぶ蛇と対峙していた。その横顔はなにやら死地に赴く決意を秘めた兵士の顔だ。
「私がこいつの足止めするから、早くっ!」
「んー」
なにやらシリアスな空気が流れております。
『ジョンここは任せな。なぁに、食後の運動にちょっくら暴れるだけさ』
的な言葉に自動変換される僕の脳。
「ダメだ、お姉さんを置いていけないよ! ここは、僕が残る」
食後の運動をしなきゃいけないのは僕でしょ。
「でも、君は人間――」
「ああそうだ。あとでまたお姉さんのご飯食べさせてくれないかな?」
「……え?」
「ボク、お姉さんの料理気に入っちゃった。それに、帰ったらお腹いっぱいご飯食べるんだ」
……ん? これって、もしかして死亡フラグ?
あ、僕の頭に変な旗が立ってる
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