第三十六話「元気万倍、レイパンマン!」
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返った。
「あぐあぐあぐ……んぐんぐ!」
そこにいたのはさきほどの少年。
その華奢な体躯をボロボロにしながら、一心不乱になにかを頬張っていた。
「あれは……」
少年が食べているもの。それは、私が朝早く起きて作ったお弁当だった。
無残にも地に散けたお弁当。砂利と土に塗れたそれを少年は黙々と口に入れていた。
とても食べれたものではない筈なのに、その横顔はこれ異常ないほどの幸福に満たされていた。
「がつがつがつ! ん、くぅ〜……げぷっ」
完食した少年が満足そうにお腹をさする。
唖然としながら眺めていたら少年と目が合った。
綺麗な目だ。黒真珠の宝石のような漆黒の瞳。
パチパチと瞬いた少年がお弁当を指差す。
「このお弁当、お姉さんが作ったの?」
「ええ、そうだけど……。あの、大丈夫だった? お腹とか痛くない?」
あんなものを食べたのだ。お腹の一つや二つ壊してもおかしくない。
しかし、彼はほにゃっと表情を崩し、一言。
「ううん、美味しかったよ! ごちそうさまでした!」
明るい笑顔でそう言った。
† † †
「あぐあぐあぐ……んぐんぐ!」
一口ソレを食すたびに、自分の中の何かが形作られる。
まるで水を吸う砂のように、身体の奥底から魔力が沸き起こる。
「がつがつがつ! ん、くぅ〜……げぷっ」
たゆたっていた自分という存在が急激に安定し、個としての存在へと変わっていく感覚。
ぼやけていた視界が明瞭となり、バラバラに拡散した思考の欠片が一つ一つ繋がり正常化する。
満足いくまでソレを食し、ようやく人心地ついた。
そこでようやく現状を知る。
三沢さん――いや、腰まで届く銀髪のお姉さんがポカンとした顔でこちらを見ていた。独特の甲冑と顔つきからして北欧の人かな?
というか、三沢さんって誰!? 記憶を掘り返せば、いくら思考がカオスだったからといって自分でもよくわからない言葉のオンパレードだよ!
トトちゃんってなに? アザラシのタマちゃんの親戚??
うぁぁ〜、穴があったら入りたいよぉ! 後で掘ろ。
まあ、それはさておき。
「このお弁当、お姉さんが作ったの?」
「ええ、そうだけど……。あの、大丈夫だった? お腹とか痛くない?」
どこか不安そうにこちらを見るお姉さん。
大丈夫です。フグも丸
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