暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep16氷神 〜Ancient Empress〜
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散っていく。この場に居る全員がポカンと呆けた表情をした。

「この感じ・・・!」

唯一レヴィはまともに思考が出来ており、ハーデの異常さにいち早く気付いていた。魔力をも凍結させる魔法。いくらなんでも有り得ない現象だと。さらにハーデのマントの中から異様な“力”を感じ取っていた。
ハーデはレヴィからの視線に気付き、ルシリオンを倒した彼女をフードの中から睨みつける。ハーデの目が見えずともレヴィは無意識に構え、ヴィヴィオとルーテシアを後ろへと追いやった。

「ルールー!?」「レヴィ!?」

思うことはただ1つ。戦えるか、その一点のみ。しかしそれは不可能だった。ルシリオンとの戦闘で魔力をほとんど使い切っているからだ。ヴィヴィオがレヴィの私服のクロークにしがみ付きながら「レヴィ」と緊張に満ちた声で名を呼んだ。

(レヴィ・アルピーノ・・・あの子が、私のルシルを・・・!)

護送車からレヴィへと進路を変更しようとしたハーデだったが、ルシリオンを救い出すことを優先として踏み止まる。レヴィから視線を外し、またコツコツと靴音を立てて護送車へと歩いていく。レヴィは無意識に構えを取っていたことに気付き、大きく深呼吸して構えを解いた。

(どうする。このままじゃせっかく倒したルシリオンが解放される・・・)

(だけど、今の私たちじゃどうすることも・・・)

ただ黙って見ていることしか出来ない悔しさに歯噛みするレヴィとルーテシア。ヴィヴィオもどうすることも出来ずに、レヴィのクロークを強く握り締めているだけだ。そんな3人を余所に地上部隊はハーデに攻撃を加えていく。しかし次々と魔力が凍結されていき決定打を与えることが出来ずにいた。

「退け・・・!」

ハーデの命令口調の囁きがレヴィには聞こえた。レヴィに緊張が走る。これは何かまずいと、すぐにこの場から逃げた方が良いのではと。

「これで最後だ。大人しく同志を解放しろ」

「この・・・・ふざけるなッ!!」

ハーデの最後の命令に激高した分隊長は、自らが持つストレージデバイスを構え至近距離で砲撃を放った。マントの中に隠れた“ディオサの魔道書”が光を放つ。レヴィは背筋が凍りつく感覚を得た。これは絶対にまずい、ここからすぐに逃げろと。
すぐさまレヴィはヴィヴィオとルーテシアを両脇に抱え上げて、全力でこの場から離れるために疾走する。ヴィヴィオとルーテシアは突然のレヴィの行動に驚くが、レヴィの焦りが滲んだ真剣な横顔を見て、何も言わずにキュッとレヴィの服を握り締めた。

――愚かしき者に美しき粛清を(センテンシア・コンデナトリア)――

そしてそれは起こった。レヴィは全力疾走しながら背後へと振り向く。世界が一変していくその様を見て、レヴィは心が、そして身体が恐怖に震えた。
トパーシ
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