暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
Ep16氷神 〜Ancient Empress〜
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ル。すぐ行きますから」

ルシリオンの愛称である、ルシル、を愛おしそうに口にしながら、フードを目深に被ったハーデはその寝室から姿を消した。

・―・―・―・―・―・

力なく212部隊の隊員に両側から支えられて連行されるルシリオン。ルーテシアとレヴィ、その騒がしさから目を覚ましたヴィヴィオは、その姿をただ悲しそうに見ていた。レヴィにとっては今の生活をくれた大恩人であるルシリオン。そんな彼が敵となり、彼と戦い、彼を撃墜し、そして管理局に連行されていく様は、彼女に複雑な気分をもたらしていた。

(ルシルパパ・・・)

ヴィヴィオにとって彼は、なのはのように本当の親ではないが、それでも大好きなパパだった。記憶が戻った時は本当に嬉しかった。もうこれで戦わなくても良いんだと心底安堵した。しかし彼は突如苦しみ出し、再び記憶を失い敵となった。救うため。その思いだけで戦って撃墜した。そんな彼は、はやてが応援要請した212部隊に連行されていく。

「ルシルパパ・・・。これでもうルシルパパと戦わなくても良いんだよね・・・・?」

「・・・ルシリオンは誰かに操られている上に記憶操作を受けている。これは確定と見ていい。だから厳重な監視体制の元、ルシリオンを外に出させない。この事件が完全に解決するその日まで・・・。待とうヴィヴィオ。ルシリオンが戻ってくるまで」

レヴィはヴィヴィオを後ろから抱きしめながらそう優しく語りかけた。ヴィヴィオは零れ落ちる涙を手の甲で何度も拭いながら「うん」と頷く。これで一件落着と思った。ヴィヴィオ達もその場に居る212部隊も。
ルシリオンが護送車へと入れられたその時・・・


「私の大事な同志を返してもらおうか」 


広場に若い男の声が響いた。212部隊に緊張が走る。もちろんヴィヴィオ達も周囲を警戒する。

「氷漬けにされる前に我らが同志を解放したまえ」

コツコツと靴音を鳴らしながら、白マントを羽織った1人の人間が歩いてくる。それは声を男のものへと変えたハーデだ。212部隊の面々がストレージデバイスを一斉にハーデへと向けるが、それを見ても彼女は歩みを止めずにルシリオンの居る護送車へと向かっていく。

「再度伝える。我らが同志を解放したまえ」

「止まれと言っているのが判らないのか!」

「攻撃準備!」

再三に亘る投降勧告を無視したハーデに、212部隊の分隊長が「撃てぇぇ!」と号令をかけた。ハーデへと迫る幾つもの砲撃。しかしハーデはただゆっくりと歩を進み続けるだけで、防御も回避も取ろうとしない。
砲撃の直撃まで2mを切ったところで、ハーデは「凍れ」と囁いた。瞬間、迫ってきていた魔力の塊である砲撃が、まるで物質のように凍りついた。ガシャァァン!と音を立てて氷漬けにされていた砲撃が砕け
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