第一部:蒼の鬼神
悪魔と契約した少年
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《蒼燐光の鬼神》との契約――――聖職者にならうなら《ウォーロック》になったことによって、ロードには《蒼燐光の悪魔》の持っていた戦闘知識がいくつか与えられていた。
あの刺青は、恐らくは何らかの魔術的処理を施した《魔術刻印》だろう。特定の魔術を埋め込むことで、魔術師でなくても特殊な能力を使えるようになるという技術。
「餓鬼、テメェの能力にはちっと興味が出てきたがな。こっちもある意味商売なんだ。悪いが、死んでもらうぜ」
男が前かがみになる。瞬間、バクン!!という音。ロードの強化された感覚は、同時に膨大な量の魔導エネルギーが放出されたことを感知した。それに充てられて、裏道に添っていた建造物の窓が割れていく。
波動が消え去った後には、どこか獣めいた顔立ちに変化した男がいた。《魔術刻印》による《疑似獣人化。亜人種族である獣人の能力を得て、一時的に獣のごとき能力を手に入れる技術だ――――もっとも、それもまた《蒼燐光の鬼神》によって与えられた知識の一つにすぎないのだが……。
「グルァッ!!」
獣の物によく似た咆哮を上げ、人獣は大地を蹴った。人間の域を超越したスピード。並みの人間なら対処が難しかっただろう。ロードは知りえないことだが、この男はこの能力によって、裏社会では一目置かれる存在なのだ。
だが――――ロードには、それが不思議と遅く見えた。止まって見えるほどではないが、普段の五分の一近くのスピードで動いているように見える。《ウォーロック》になったことによって強化された感覚は、五感だけにとどまらず、脳の認識領域までも活性化させたらしい。一種の興奮状態によって引き起こされるソレは、体感時間の一時的鈍化を引き起こせる。
手に取るように……とまではいかずとも、刺青人獣の動きは知覚できた。最適なタイミングで、その《能力》を開放させる。
《蒼燐光の鬼神》が自らの《神宝》と共にロードに授けたのは、その中に込められた特殊な能力……いわば《必殺技》だ。どうやって使うのか。どのような効果があるのか。それもすべて、当然の様に――――ずっと前から知っていたかのように、ロードの脳裏に出現する。
「――――咎人に罰を。罪人に慈悲を。其は彼の者に、《断罪》という名の《祝福》を与えよ――――」
雷光が、純白の刀身を包み込む。そのまま光はどんどん強くなっていき、非実態の刀身を形作っていく。見る見るうちに、光の刀身は元の刀身の倍近くの長さまで伸びた。
人獣化した男が剛腕を振るう。それに合わせるように、ロードは大剣を振るった。本来
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