第1話 誠の鬼、幕末の世界から飛ばされる
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携帯電話を切った後すぐに別の連絡が届く
「どうした?……何?」
狐の仮面の女は不快気な声を上げる
「戦死した新選組の幹部の魂の反応が突然消えてどこにも無いだと?馬鹿言えっ!奴らの殆どは羅刹になったのだから消滅してもおかしく…」
狐の仮面の女は今度こそ驚愕の声を上げる
「原田左之助と永倉新八、それに斉藤一の死体が無いだと!?奴らは変若水を飲んでいないのだぞ!?」
変若水とは新選組が幕府から受けた密命により、研究を続けていた赤い液状の薬。南蛮から渡来した薬で、西洋で言うエリクサー、中国では仙丹と呼ばれている。千鶴の父親、“雪村綱道”が幕府からの密命によって研究を進め、服用すればすぐさま羅刹へと変貌してしまう。
羅刹とは変若水を飲んだ者を指す総称。飲んだ者は眼が紅くなり、髪は白く染まる。日光に弱く、時折吸血衝動に苛まれるが、甲府の戦い時、研究を続けた綱道は日に当てられても活動可能な羅刹を作り出すことに成功している。超人的な身体能力と治癒能力を持つ羅刹だが、実際はこれから数十年間の長い時間をかけて消費していく分の生命力や治癒力を一気に消費しているに過ぎないため、それが尽きれば身体は灰と化して死亡する。寿命以外では心臓を貫かれたり、首を切り落とされない限り死ぬ事は無い。
そのため、新選組幹部の原田左之助、永倉新八、斉藤一の3人は変若水を飲んでいないため、戦死したのなら死体がないとおかしいのだ。
狐の仮面の女は舌打ちをしながら確認を取る
「ちっ……それで?新選組で死亡の確認が取れたのは打ち首された近藤勇だけということか?」
確認をとり、しばらく考える仕草をした後、連絡先の相手に新たな指示を出す
「お前はすぐに他の連中を連れて新選組の幹部連中が最後に確認できた戦場に行き、死体の確認をして来い!あっても無くてもだっ!奴ら(・・)が干渉した可能性が高くなった。何か手掛かりが残っているかもしれん。すぐに行けっ!!」
連絡を切った後、狐の仮面の女は夜空の美しく照らされた月を見上げながら一言呟いた
「全く……忙しくなるな…」
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