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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
神明裁判 @
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一輝は森を走りながら、アジ・ダカーハを切り裂いて進んでいた。
本来であれば神霊と同等である第一世代を倒すことが、そう簡単であるはずがない。
それに劣るとはいえ、第二世代、第三世代も簡単に倒せるような敵ではない。
それでも、一輝は一太刀の下に切り伏せ、進んでいく。

今の一輝を構成している霊格は、大きく分けて六つだ。
一輝個人としての霊格、鬼道という一族の霊格、檻の中にいた妖怪、魔物、霊獣の霊格。
そして、神である蚩尤の霊格。

蚩尤一つでも十分なその霊格にさらに付け加えられ、今の一輝は人間の領域を完全に遺脱した、それでも人間であるという小さな矛盾を生んでいる。
それもまた霊格を強化する要素となり、たかが第一世代、おのれの霊格で押しつぶすことが出来る。

だが、それではゲームは終わらない。

アジ・ダカーハの分身体もまた、アジ・ダカーハと同じ性質・・・血より新たな世代を生み出すことが出来る。
一輝が斬り裂くと同時に新たな世代が生まれ、それを切り伏せると同時にまた新たな世代が生まれる。
湖札が言っていた『こんなギフトゲーム』という言葉は、この要素があるゆえのものだ。
その要素さえなければ、ギフトゲームは成立しているといえよう。いや、現時点でも成立はしている。
ちゃんと主催者、参加者の双方が勝利することは可能だ。
ただし、主催者が一方的に不利(・・・・・・・・・・)ではあるが。

「やっぱり、数の利は向こうにあるか。」
「その上、質もかなり上です。・・・今からでも遅くありません。兄様、ルールの変更をなさるべきかと。」
「・・・ダメだ、それは出来ない。」

スレイブの個人判断で一輝の体を動かし、背後から迫っていた第一世代を切り伏せ、その後から湧いてきた第二世代、第三世代を続けて切り伏せる。
スレイブ自身も、一輝の鍛冶神としての神格によって霊格をあげている。
その上で一輝が正面、スレイブが背後を担当した時点で死角というものは存在しない。

「何故ですか、兄様!」
「・・・コイツらに合わせてこのルールを変更した場合、俺以外の人まで巻き込むことになる。」

コイツらに合わせる、というのは目の前にいるアジ・ダカーハの分身体のことだ。
今回、一輝がゲームを開催したことによって分身体のほとんどは一輝のもとに集まってきた。
そりゃそうだ。一輝一人を殺せば、このゲームは終了するのだから。

今回のゲームにおいて、一輝は自分自身を危険にさらし、自分が勝利するのを難しくすることによって相手の行動を制限している。
そうして、範囲外に逃げた人たちの安全だけは確保したのだ。
・・・代償として、無限に近い数の敵を殺さねばならなくなるのだが。

「俺が何とかして敵の数を減らして、その間に求道丸が比較的力のない人たち
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