第五十六話 船上の戦い
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船内の避難場所に乗客や乗組員が集まっていた。
その避難場所でこの客船の船長は小さくなって怯えていた。
彼は今まで海で魔物と出会ったことは何度かある。
だが、海賊に襲われたことは初めてだったからだ。
魔物に襲われた場合なら最悪でも死ぬだけだ。
船乗りになった以上、殺される覚悟ならば船長は持っているからそれには耐えられる。
しかし相手が海賊となると話は変わってくる。
万が一彼らに捕まったりしたならば奴隷にされる可能性すらあるのだ。
公的には奴隷はガルテア連邦成立以来、イヴァリース全域で禁止とされている。
しかし裏では奴隷を売買する輩が存在するのだ。
現にアルケイディアやロザリアのケルオン大陸植民地では奴隷とおぼしき人材が立派な労働力として酷使されている。
そもそも禁止されているのはあくまでイヴァリース内だけの話なのだからイヴァリースから出てしまえば奴隷制のある地域もあるだろう。
そういう商人へのルートを海賊達が持っているというのはよく聞く話だ。
何故なら海賊を帝国水軍が捕まえて尋問した結果、奴隷商に繋がった例が多すぎるからである。
無論、アルケイディア帝国内にそんな商人がいれば判明した時点で潰される。
しかしそれが国外だと中々潰れない。
他国の政府が言いがかりだの内政干渉だの言って話が商人の捜査まで中々進まない。
彼らに言わせれば犯罪者の証言だけで決め付けるなどふざけているということらしい。
やっと捜査する頃には狡猾な商人は証拠を隠滅してしてしまっている。
更にその奴隷商人がイヴァリースの外にいる場合は他国に訴える事すら不可能だ。
そういった経緯で奴隷を供給したい奴隷商人の数はあまり減らないのだ。
その為、金を稼ぐのに手段を選ばない無法者達が集まり新しく海賊が誕生する。
そのせいで裏の世界ではいくらたっても奴隷は売買されている。
船長は死ぬのは恐くないが奴隷になるのは嫌だった。
だから客に後で金一封を出すから海賊退治に協力して欲しいと言った。
その結果、セア・バルフレア・フランの三人が名乗り出てバート交通公社の腕章をつけて甲板に向かった。
「オレもいきたかったな」
ヴァンは甲板で戦っているセア達を思いながら呟いた。
「だが、無法者相手だと彼らが一番経験豊富だろう。私達はここを守っていればいい」
「えっ?セアってそんな経験あったの?」
バッシュの発言にパンネロが不思議そうな声で問う。
「ああ、彼は傭兵として働いていたときもあるらしい」
「……そんな話聞いた事ないぞ」
バッシュの返答にヴァンがふてくされた声で返した。
バッシュも聖ヲルバ騎士団国の首都ティンダロスの宿で興味本位でなぜロザリアの諜報部に所属することになったのか訊いたらセアが酒を飲みながら傭兵としてロザリア帝国に雇
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