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不老不死の暴君
第五十六話 船上の戦い
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チャラになっただろうが!!」
「知るか!!」
「んだと!?」

なにやら口論を始めた海賊達の首を跳ね飛ばそうと近づいて剣を振った。
だが凄まじい金属音をあげ、セアの剣は口論していた海賊の首には届かなかった。

「なにやってんだ。お前ら」

ギャンスはやや呆れたような声で敵前で口論していた海賊達に言った。
だが、ギャンスの言葉に海賊達の背筋は凍りついた。
なにせ自分達の所属する海賊団の甲板長――ヘマした者に対して制裁を与えることができる地位にいる。
この海賊団でギャンスの背中が出血する程の威力を誇る鞭打ちの制裁を受けていない者など殆どいない。
だからこそ彼らはギャンスがある意味船長より恐ろしいのだ。

「もういいからお前らは向こうのヴィエラの相手をしてやれ」

ギャンスはそう言って顎をしゃくる。
そこではフランが数人の海賊を相手にしていた。
叱咤された海賊達は逃げるようにしてフランの方に叫びながら向かった。

「……」

セアは剣を構えなおし、警戒する。
何の苦もなく先程の自分の剣を止められた。
で、あるならば目の前の男は相当な実力者だ。
男の得物は……細剣か。
自分の突きをいなされた後、{サンダラ}で攻撃しようと詠唱をしながら突きを繰り出す。
が、あろうことかギャンスは細剣でいなさずに左手の甲でガードする。
ギャィイインと嫌な音を立てて斬撃はそれ、ギャンスの細剣が首筋に迫る。
思わず、セアは詠唱を中断し、受身をとって転がってその勢いのまま立ち上がる。
ギャンスの左手の甲は切り口から銀色の金属が覗いていていて鈍く光っていた。
どうやら左手に金属の篭手を仕込んでいたようだ。
ギャンスは立ち上がって硬直しているセアの腹を篭手の仕込んでいる左手で殴る。
セアはその激痛に口から血を吐きながら剣でギャンスの顔を切り裂く。
ギャンスは即座に回避しようとしたが間に合わず斬られた左目を抑える。

「……それで意識を失わないって。まさかとは思うが同胞じゃねぇよな?」

ギャンスは怪訝な声で聞いてきた。
だが、セアにとっては意味不明な質問だ。

「意味がわからん。なんだ同胞って?」
「……知らんならいい」

ギャンスはそう言うとなにやら唱えだした。
セアはしばし呆然としていたがそれが自分の知らない魔法の詠唱だと気づき、止めようとする。
しかしギャンスの魔法の詠唱は完成してセアの体が光りだした。
いや、正確にはセアのポケットが光りだした。

「そこかッ!!」

ギャンスは細剣で突っ込んできたセアのポケットを切り裂く。
切り裂かれたポケットから双魚宮の紋章が刻まれた魔石が宙を舞い海に落ちた。
それを追いかけるようにギャンスは海に飛び込んだ。
セアもあの魔石の価値(マティウスの
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