第五十五話 海戦
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ら飛空挺部隊に仕事を任せた方が早いし、確実だ。
だからやるべき仕事といえばヤクトの海域に置ける魔物退治や海賊退治。
もしくは戦時下にヤクトの海域を通っての輸送任務。
それくらいの仕事しかないのだ。
シーランド公国の様な国土全域がヤクトでかつ島国というような特殊な立地条件にない限り、海軍に力を入れる旨みがほぼないのだ。
その為、多くの国の海軍は閑職、もしくは海軍自体存在しないことさえありうる。
だから船長は帝国水軍の護衛がいるとはいえ、バート交通公社の船を襲ったのだ。
だが、流石に二大帝国レベルの大国となるとシーランドに及ばないまでもそれなりの海軍力は持っている。
現に部下から客船に乗り込んだ海賊達が護衛隊相手に苦戦していると報告があがってきている。
「面舵一杯!敵船の横に接舷して乗り込むぞ!!」
船長の叫びに海賊達が鬨の声をあげる。
命令し終わった後、船長がふと思いついたことをギャンスに訊ねる。
「……ああ、ついでに海賊旗も掲げとくか?」
「了解だ。船長」
船長の問いにギャンスは暗い微笑みを浮かべて短く返した。
そしてギャンスが何もせずさぼっている奴を見繕って海賊旗を掲げるように命令する。
メインマストに髑髏に剣が交差した海賊旗が掲げられるのとほぼ同時に海賊船が客船の横についた。
それと同時に海賊船から海賊達が客船に乗り込む。
「野郎ども!金目の物や食料を奪え!!抵抗するものは殺せッ!!」
船長の命令に海賊たちが嬉々として水兵達に襲い掛かる。
「船長、女はどうしやす?」
海賊の1人が下卑た笑みを浮かべながら質問した。
船長はその質問に対してやや眉をひそめた。
シーランドの軍人であった頃から船長はあまりそういうことは好きではないのだ。
「好きにしろ」
だからそっけなくそう返した。
するとその海賊はより醜い笑みを浮かべて客室の方に向かった。
「いかん!海賊をなんとしても客室にいれさせるな!」
水軍士官が客室の入口無防備になっていることに気づき、声を張り上げる。
水兵たちが入口を守ろうとするが海賊たちに邪魔されて中々入口に近づけない。
そうこうしている内に海賊が客室に続く扉のドアノブに手をかけた瞬間。
「あ、れ……!?」
銃声と共に海賊は頭から血が出てきて倒れた。
そして扉を開けてバルフレアが出てくる。
「まだ甲板に敵がいるのに客を狙うとはいい神経してるな」
バルフレアが扉の前に倒れている海賊の頭を踏みつけて言った。
「あなたみたいな義賊が少数派なだけだと思うけど?」
続いて船内から出てきたフランがバルフレアに言う。
「海賊は……乗り込んできてる奴だけで50人はいるな」
セアは船内から出た途端、甲板を見渡し敵
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