第五十五話 海戦
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が壁にもたれかかり首を傾げていた。
「ギャンス、どうかしたのか?」
「……」
船長が声をかけたがギャンスは全く反応しない。
「ギャンス?」
「……ん?」
ようやくこちらに気づいたのかギャンスは少し驚いた顔をした。
「大丈夫か?」
自分を気遣う船長の言葉にギャンスは申し訳無さそうに
「悪い、少し考え事をしてた」
「そうか。ならいいんだが」
ギャンスの返事に船長は疑問に思いながらもそこを離れて部下に命令を飛ばし始める。
その様子を暫く眺めた後、再びギャンスは考え事を始める。
(……さっきから感じるこの胸騒ぎ。近くに同胞がいるのか?こんなに薄いところだと魔霧によって形を成しているわけがないし、自分みたいに魂と融合して体を奪っているのか?それとも【獣印】が刻まれた石に封じられたままなのか……)
そこまで考えるとギャンスは船のマストに繋がっているロープを掴んで船からこれから襲う客船を見ようと身を乗り出す。
もうすぐ真横になる位置にその客船はあった。
あそこに同胞がいるのかもしれない。
そう思い、ギャンスは拳を強く握り締めた。
すると……
「撃てえぇーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「テェッーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
ほぼ同時に両方の船から大砲が火を噴いた。
その衝撃でギャンスは海賊船の甲板に叩きつけられる。
「1、2、3班!向こうに乗り込め!!」
船長の怒声で20人近い海賊達がマストから垂れているロープを掴んで客船に乗り込む。
客船にいる帝国水軍の水兵は槍やサーベルで海賊を討ち取っていく。
「乗り込んできた敵はこちらより少ない!数で押せ!!」
水軍士官が敵の海賊の切込みをサーベルで防ぎながら叫ぶ。
その後、鮮やかな動きで対峙した海賊を始終圧倒し、喉を切り裂いた。
倒れる海賊を一瞥もせずに水軍士官は周りを見渡して状況を確認する。
海賊船とはすれ違い逆方向へ進んでいたが旋回しだしているのが見えた。
「操舵手!面舵50!!砲手は周りを警戒しつつ砲撃準備!!」
水軍士官と操舵手との距離は離れている上に海賊と護衛隊の戦闘のせいで水軍士官の命令は直接は届かない。
しかし水兵達が水軍士官の命令を何度も復唱して叫び、操舵手に伝わった。
ギャンスは船長に言った。
「このままぶつけて乗り込もう。このままだと乗り移った奴から各個撃破される」
「……そうだな。少し帝国水軍を舐めてたらしい」
水軍はアルケイディア帝国軍の中で一番脆弱な軍団だ。
いや、イヴァリースに存在する諸国の多くの海軍は脆弱である。
というのも海軍が活躍できる場所が極めて少ないからだ。
そもそも火力・機動力共に飛空挺の方が上なのだか
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