第二十七話 怪談と都市伝説
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」
「そう言うなら聞いてあげるわよ」
初春さんと佐天さんが俺の怪談を聞くという方向でまとまったので、白井さんと御坂さんは渋々といった感じで了承してくれた。
「これは今考えた話です」
「こらっ! 今考えたって何よ!」
黒い布をかぶり、ケータイの画面で顔を照らして俺が話し始めると、即座に御坂さんからツッコミが入った。
「まーまー、今考えたけど、ちゃんと怪談だから」
そう御坂さんをなだめてから、俺は一つ咳払いをして話し始める。
「これは去年の話です。その春高校に上がってから知り合って、付き合い始めた一組のカップルが居ました。彼氏はレベルこそ低いものの学園都市の中では珍しい能力の持ち主で、彼女はレベル4の電気操作能力者でした」
電気操作能力者と言ったところで御坂さんが少し反応したが、俺はかまわず話を続ける。
「彼女はゴールデンウィークに入ってから全然連絡が取れなくなっていた彼氏に会いに行きましたが、彼氏の部屋はすでに何もなくまるで夜逃げをしたかのようでした。彼女は必死に彼氏を探しましたが、学校では転校扱いになっており、どこの学校に転校したのかも分かりません。彼氏を探しているうちに夏休みに入ってしまいましたが、それでも諦めずに自分の能力でハッキングを繰り返して探し続けた結果、ようやく彼氏が最後に行った場所が分かったのです。そして、彼女はそこへ侵入することにしました。彼氏の消息が途絶えた研究所へ……」
そこで俺は一旦話を区切って周囲を見回す。そして話を続けた。
「彼女はその研究所について調べ上げ、研究所の監視システムをハッキングして見つからないように侵入しました。自分が映らないように監視カメラの向きを変え、ドアのロックを外し、ドアの開閉が警備室に通知されないようにして進み、事前に一番怪しいと睨んだ部屋に辿り着きます。その部屋は保管庫なので監視カメラも付いていないことを確認して、懐中電灯を点けると……、最初に照らされたのはホルマリン漬けの眼球でした。彼女は一瞬悲鳴を上げそうになりましたが何とか抑えます。気を取り直して部屋を捜索しますが、置いてあるのはホルマリン漬けの臓器や脳の一部ばかり、彼氏の行方に関しての情報は見つかりませんでした。彼女はこの部屋を諦めて次に怪しいと思う部屋へ移動しようとしましたが、脳の一部が置いてある通路を歩いている時にふと気付きました。これだけの量を全部つなぎ合わせたら人間の脳ぐらいの大きさになるのではないか……と」
そこまで話したところでまた一区切りつける。生唾を飲み込む音が聞こえる中、更に話を続ける。
「『まさかっ!』と、彼女は声に出していることすらも気付かずに片っ端からホルマリン漬けを見て回っていました。この保管庫にあるものを全て足せば人間ひとり分に
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