暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
5th Episode:
シアワセの在処
Ep1プロローグ〜Next story〜
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――新暦77年 某月 無人世界
かつては栄えていたであろうこの世界もまた滅び、朽ち果てていた。所々に文明の名残である建造物が多く残っている。レンガ造りの家、教会のような豪華絢爛なもの、さらには城のようなものまである。
しかしそのほとんどが時間という波に晒され風化、そして崩れ落ちてしまっている。遺跡。人はこの場所を見て廃墟ではなくそう呼ぶに違いないだろう。
そんな遺跡を歩く集団。スーツの者、白衣の者、バリアジャケットの者と。老若男女を問わず様々。遺跡を傷つけないよう慎重に触れ、何かを調べているかのような者たちだ。
「スクライア先生」
「どうしました?」
1人の白衣姿の男性が「ちょっとこちらに来ていただいてもいいですか?」と、スーツ姿の青年に声を掛けた。スクライア先生と呼ばれた青年、ユーノ・スクライア。時空管理局本局・超巨大データバンク“無限書庫”の司書長を務め、ミッドチルダ考古学士会の学者でもある。
ユーノは掛けた眼鏡を少し上げ、声を掛けてきたその学者と共にとある場所へと歩いていく。そこは未だに原形を残すほどの大きなレンガ造りの建造物だった。ユーノは白衣の男について、中へと入って行く。
(一体どれだけの時間を過ごしたんだろう・・・?)
ユーノは今まで見てきたこの世界の遺跡を見てそう思う。ユーノを始めとした彼ら学士会を筆頭とした調査団は、突如として次元の海に現れたこの世界を調査するために赴いていた。念のための護衛として管理局員を含めた50人からなる大調査団だ。
「これを」
「・・・本・・・?」
ユーノが手渡されたのはボロボロになった1冊の本。しかし本はその1冊だけではなかった。
「ここは・・・・書庫だったのか・・・?」
建造物の中、所狭しと納められた本の山。そこはさながら書庫。そう呼ぶに相応しい場所だった。他の学者たちも書庫へと集まり、慎重に書棚に納められている本を手にする。
「見たことのない文字ですね・・・」
本に記されていた文字は、何1つとしてユーノには見覚えのないものだった。
「スクライア先生、無限書庫で調査していただいても?」
「ええ、そのつもりです」
状態が良いものも悪いものも、未発見の文明が残した書物というその貴重性からして崩れないように保存の魔法を掛けられ、次々と運び出されていく。一通りの調査を終えた調査団が“ミッドチルダ”へと引き上げていくそんな中、ただひとりユーノが遺跡へと振り返る。
(この景色・・・どこかで見たことがあるような気が・・・)
妙な既視感を覚えつつ、彼も急いで離れていく調査団へと戻る。後にこの世界は、重要管理指定世界“オムニシエンス”と名付けられた。
・―・―・―・―・―・
――同年/某月/重要管理指定世界
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