暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
5th Episode:
シアワセの在処
Ep1プロローグ〜Next story〜
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わ言のように「美しい」を連呼する。その目は何かに取り憑かれたように妖しい輝きを放っていた。

「これほどの物に一体何が記されているんだ・・・?」

どうしても中身を知りたい衝動に駆られた彼は、必死に鎖を解き始める。1本解いていくたびに、その本が脈動するような感じに襲われるシャレード。2本、3本、4本・・・そして最後の5本目の鎖が解かれた。ゴクリと唾を飲み込み、鎖から解放された赤い本の表紙を開く。

「・・・白紙・・・?」

何ページも捲る。しかしどこまで行っても白紙だった。タイトルも無く、その上何も記されていなかった赤い本。彼は肩を落とし、心底残念そうに大きく溜息を吐いた。

「だが、これほどの立派な装飾、そしてこの遺跡から発見されたとなれば高額で取引されるはずだ。そうすれば依頼主から依頼料をもっと踏んだくれるぞ。ハハハ、俺ももうすぐで大金持ちだ」

シャレードは赤い本を背中に背負っていたリュックへと納め、祭壇を後にする。彼が去った後の祭壇。そこにうっすらと白い影が生まれる。成人男性のような人の形をした白い影。その影の口の部分にあたる場所が三日月のようにパカッと開く。それは歓喜を表した笑みのようだった。

・―・―・―・―・―・

この半年後、第一世界ミッドチルダ東部海上にて、1人の男性遺体が海面に浮いているのを地元住民が発見した。
身元確認の結果、トレジャーハンターにしてロストロギアや質量兵器などを横流しする闇のブローカー、第一級指名手配犯“シャレード・アルス”と判明。
死因は、物理破壊設定とされた魔力斬撃で胸部を斬り裂かれたことによる出血死と断定。怨恨によるものか、取引で何らかのトラブルが起きたか、現在調査中。
後にシャレード・アルスの荷物が荒らされていたことが判明。彼はここ最近、知人に装飾の施された赤い本を自慢していたらしい。
その赤い本が見当たらないことから、その本が盗まれたものだと推測される。物盗りによる犯行であることも視野に含め、調査が続けられることとなった。

この3年後、新暦80年11月。
何者かによって盗まれた赤い本によって、再び次元世界に危機が訪れる。様々な再会と別離が繰り返されていく、それは短い期間での物語。そう。過去と現在が交錯しせめぎ合う、それはとても辛く悲しい事件が。


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