第五十五話
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愛らしくて、俺は氷柱の頭を撫でた。
氷柱も、撫でられるままになっている。
こうやって氷柱の頭撫でるの、何年ぶりかなぁ・・・
と、そんな事を考えていたらバスが来た。
・・・あれ?
「ほ、ほら!バス来たわよ!」
「あ、ああ・・・って、ちょい待ち」
「急ぐ!」
俺は気になることがあったので乗りたくなかったのだが、氷柱に腕を引っ張られてそうも行かなくなる。
このまま氷柱だけ乗せるよりは・・・仕方ない。このままのろう。
「・・・って、誰も乗ってないわね。この時間帯にしては珍しい・・・」
「確かに、珍しいな。ついでに、本来のバスの時間にはまだ後十分はあるぞ」
俺が携帯で調べながらそう言うと、氷柱が怪訝そうな顔をする。
「何いってんのよ・・・」
そう言いながら氷柱が席についたので、俺はその隣に座る。
「そんなに早くに来るはずないでしょ?どうせ兄貴のことだし、平日用のでも見たんじゃないの?」
「そうじゃねえよ。ほら」
俺が携帯を渡すと、氷柱もそれを確認したらしい。
怪訝そうな顔をして・・・ふと、何かに気付いた。
「そういえば、兄貴。さっきからカンピオーネの気配が出すぎてて、結構辛いんだけど・・・」
「ん?・・・ああ、霊視が降りてきかねないのか」
といわれてもなぁ・・・
「悪い。俺、これを抑えれそうにない」
「なんでよ?」
「勝手に、体が戦うための準備をしてる」
そう、体が勝手に戦うための準備をしているのだ。
つまりは・・・
「まつろわぬ神が近くにいる、ってこと?」
「そういうこと。・・・って、その表情は」
「・・・見たくない現実から、目をそらしてたのに・・・」
氷柱もまた、その気配は感じていたらしい。
「そうよ。さっきからずっと、前に話した内容が霊視されてるのよ」
「なら、近くにいるのは問題になってる神なんだろうなぁ・・・ついでに、このバスも」
俺はそう言いながら、窓の外の光景を見る。
そこは、見覚えのある場所ではなかった。
「ちょ・・・ここどこよ!?」
「どこかの山の中、又は異空間」
恐らくは後者だろう。
こんな短時間での移動で、どこかの山に向かえるとは思えない。
「・・・ゴメン、兄貴。つい焦ってこのバスに乗り込んじゃった」
「いいよ、もう。それより、今はこの状況をどうするかなんだけど・・・」
「兄貴の好きなようにして」
俺の問いに、氷柱はノータイムで答えた。
神と神殺しとの戦いで口を挟むのは、どれだけ無駄か分かっているのだろう。
だからこそ、全部を俺に託してきた。
そして、話がつくと同時にバスのスピードが落ちで行く。
後はこのまま、止まるのを待
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