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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第三十六話 治療と……
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手に涙を流しながらも戸惑うフェイト。
「ほら」
そんなフェイトの背中を優しく少しだけ押してやる。
ただそれだけで
「母さん!! 母さん、母さん」
「大丈夫よ。私はここにいるわ」
プレシアに抱きつき、泣くフェイト。
そんなフェイトを優しく包み込むように抱きしめ、撫でるプレシア。
再会を喜びあう親子。
二人が踏み出した最初の一歩であった。
なのはやアルフは涙を浮かべながらもうれしそうに、勿論ユーノ達も満足そうにフェイトとプレシアを見つめていた。
あれだけの事件。
だけど誰ひとり欠けることはなく、そしてフェイトの思いはしっかりとプレシアに届いた。そんな光景がうれしくて俺はしばらく見つめ続ける。
そして、俺の後ろにいるクロノに目配せし、なのはの手を握る。
一瞬驚くなのはだが、俺の視線が扉に向いているとわかると頷く。
俺達は二人の再会を邪魔しないように部屋を後にした。
医務室の前でゆっくりと待つ俺達。
フェイトとプレシアの幸せそうな光景。
それを邪魔しないように言葉も交さない。
だが全員が満足そうな表情をしていた。
どれくらい時間がたったか扉が開き、フェイトが恥ずかしそうに出てきた。
「……えっと、お待たせしました」
「よかったね。フェイトちゃん」
恥ずかしそうなフェイトを向かる満面の笑顔を浮かべたなのは。
そんななのはに気恥ずかしげに、でもしっかりと笑顔で頷くフェイト。
「それじゃフェイトさん。プレシアさんも連れて朝食にしましょう。
これ、お願いね」
「は、はい。ちょっと待ってください」
リンディさんがフェイトさんに差し出した紙袋。
その袋には服らしきものが入っていた。
プレシアは患者用の服を着ていたから、おそらくプレシアの着替えだろう。
紙袋を持ち、再び部屋に戻るフェイト。
それにしてもさっきまで持ってなかったはずだが、いつの間に用意したのだろう?
しばらくして私服に着替えたプレシアと一緒にフェイトが出てくる。
「それじゃ、行きましょうか」
リンディさんの言葉に皆で食堂に向かう。
で、アースラの食堂はバイキング方式なのでそれぞれが取りたいのを取るのだが
「プレシアは座っていていいぞ。フェイトもだ」
「だけど」
「いいから」
「悪いわね」
「うん」
プレシアとフェイトを座らせて、俺は自分の分を含めた三人分の食事を取りに行く。
なぜ俺がそんな行動に出たかというとプレシアの身体である。
病を布都御魂で浄化し完治させたとはいえ、落ちた体力までは戻らない。
つまりは広いアースラの移動だけでプレシアが少々疲れてしまったのだ。
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