第四章
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「私の前に来てくれています」
「そうですか。県庁の人達もですか」
「ここに来てですか」
「そうしてくれています」
「お稲荷様に許してもらう為に」
「そうしているんですね」
「あの人達は別ですが」
ここでだ、神主は公園の方かつては神社の一部だったそちらの方に顔を向けてそのうえで業者の者達に言った。そおこから聞こえるくるものはというと。
「自衛隊反対!」
「基地なんていらない!」
「教え子を戦場に送るな!」
「PKOは中止しろ!」
「原発をなくせ!」
「秘密保護法案も廃止しろ!」
自衛隊と関係ないことまで言っている、そうした声がする方に顔を向けてそのうえで業者達に話すのだった。
「あの人達は神社なぞ見向きもみません」
「ああ、デモですか」
「抗議活動ですね」
「公園は皆の、県民の為と言っていましたが」
岳田はこう喧伝していた、少なくとも口では。
「しかし実際はです」
「ああしてですか」
「デモ隊が占領してですか」
「そのうえでなんですね」
「好き勝手してるんですね」
「そうです」
その通りだというのだ。
「殆ど毎日来ています」
「何処からあれだけ集まるのか」
「ここに来る時に見たけれど凄い数ですよね
「今平日ですけれど」
「仕事は一体」
「わかりません、ですがあの人達が来てです」
毎日デモをしてだというのだ。
「子供も誰も来ません」
「そうですか、何の為の公園かわかりませんね」
「デモ隊の場所になってますね」
「一体誰の為の公園なのか」
「さっぱりわからないですね」
「全くです」
こう言うのだった、そしてだった。
神主は業者達にだ、こう言ったのだった。
「あの知事さんはおかしいですね」
「はい、噂は聞いていましたが」
「相当おかしな人ですね」
「妙ですよ」
業者達も応える、彼等もそのことを確信した。
「どうにも」
「変ですよね」
「全くです」
「あそこまで。神仏を信じない人は」
神主はこのことから言う、自分の仕事のことからだ。
「珍しいです」
「完全な無神論者ですね」
「マルクスですか」
「はい、唯物史観です」
まさにそれだ、岳田は普通の共産主義者以上の唯物論者だ。そしてそれだけではないところが彼の厄介なところである。神主はそのことについても話した。
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