対戦者発表と新たな出会い
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ところで遠坂。一ついいか?」
「なによ?」
「西欧財閥ってなに?」
「あんた、バカでしょ?いや、むしろアホね」
養殖場の家畜でも見るかのような冷めた目で言われた。流石に少しひどくないか?
「なんで、あんな有名なところを知らないのよ!ねぇ教えなさいよ。あんたの脳みそは、味噌でできてるの?それとも、記憶が戻ってるのに、まだ学生気分でいるつもり?」
くっ………この怒涛のごとき口撃はまさしく遠坂凛。ってか、そこまで言わなくても……………。
「俺は、西欧財閥なんて知らないし。脳みそは味噌じゃない。それに、記憶はちゃんとあるぞ。だけど、ここに来る直前の……というか、ここに来た理由と方法は分からないけど」
「え……ウソ。本当に記憶が戻ってないの?」
恐らく、最後のセリフは冗談で言ったのだろうか、遠坂の表情が翳る。こんな表情を浮かべるなんて予想外だ。
「それって……かなりまずいわよ。聖杯戦争のシステム上、ここから出られるのは、最後まで勝ち残ったマスターだけ。途中退出は許されていないわ……あ。でも別に関係ないわね。聖杯戦争の勝者は一人きり。あなたは結局、どこかで脱落するんだから」
遠坂の心配そうな声が、話が進むに連れて、徐々に醒めた。遠坂にとっては目の前にいるのは、聖杯を奪い合う敵でしかない。
いや、目の前の一人だけではないなく、遠坂にとって、この聖杯戦争に来ている者は全てが敵なのだ。彼女のまとう空気がそれをはっきりと示している。
実感は沸かないが、目に映る人間は全て、殺し殺される関係にすぎない。そんな事実を嫌でも気付かせてしまう。それはいつかの……ビルの屋上からこちらを見下ろしていた姿と重なる。
「……ま、ご愁傷さまとだけ言っておくわ。今回のオペは破壊専門のクラッキングだけじゃなく、侵入、共有のためのハッキングだったし。一時的にセラフが防壁を落としたといっても、あっちの事情はわたしたちには知れないしね。あなた、本戦に来る時に、魂のはしっこでもぶつけたんじゃない?ロストしたのか、リード不能になってるだけか、後で調べてみたら?」
そう言われても遠坂の言っていることが半分も理解できない。クラッキングもハッキングなと出来ないし、いきなり魂とか言われてもそんな高等技術が出来るわけがない。俺が出来るのは強化と投影、それにあの術しかないのだから。
「……ま、どっちにしても、そんな足腰定まらない状態で勝てるほど、甘い戦いじゃないわよ」
「…………わかってるさ。でも、遠坂とは戦いたくないぞ」
「ばっ……!」
俺の言葉を聞いたとたんに遠坂は顔をまた赤く染めた。
「何言ってんのよ!あなた、この聖杯戦争は勝つか負けるかしかないのよ!?あなた、そんなんじゃすぐ負けるからね!」
「心
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