第一部 vs.まもの!
第10話 なにすんのよお!
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したようであった。体全体が不気味に膨張し、紫色に変色している。
「こりゃひでぇ、ピキンピキンじゃねえか」
一旦凍らされたら、魔物も人間も生きてはおれぬだろう。
二人の魔法使いは魔物の接近を許すことなく、焼き尽くし、あるいは凍らせた。ノエルは実戦に慣れてきたらしく、また火加減を覚えたようで、初めに組んだ時のように、大火災を起こしたり人に引火させる危険性は低くなっていた。
ウェルドは二人の後ろをぶらぶら歩き、逃げ遅れた魔物がいたら駆け寄って斬り伏せた。
「理解出来んな。何故避けられる戦いに突っ込んでいく」
「ああ? 後ろから襲って来るかもしれねぇだろ?」
離れた位置の魔物達がその気配を見せない事など、ウェルドにもわかっていた。それより彼は、二人に戦いを任せる事に飽きて退屈していた。そんな自分に驚いた。
立ち止まったディアスが右腕を横に突き出し、二人を制した。
「なん――」
鋭く空気を切り裂く音を立て、何かが近付いてくる。
「よけろ」
いきなり巨大な物が目にもとまらぬ速さで飛んできた。ウェルドはノエルを壁際に退避させ、同時にしゃがみこむ。それが何なのか、速すぎて全く分からなかった。それは三人の真ん中を通り抜け、今通ってきた通路の真ん中で動きを止める。
石像だった。左右の腕が束ねた鞭になっている。体を回転させ、鞭をしならせながら飛んできたのだと理解した。
「なん、なん、何だありゃ! 巻き込まれたらミンチじゃねえか!」
「せいぜい気を付ける事だ」
ディアスは魔物を無視して神殿の奥へと進んでいく。ノエルも小走りで続いた。
魔像がゆっくりと回転を始める。
その回転が次第に早まり、鞭が浮き、恐ろしい音を立てはじめる。魔像はウェルド目がけてまっすぐ突っこんできた。
「のわあああっ!」
ウェルドは狭い空間で鞭から逃れ、駆け回った。部屋の四隅から四隅へ、壁から壁へ、為すすべなく逃げ惑う内、魔像の回転が弱まり、完全に停止した。
大剣のベルトを外して抜き、魔像に斬りかかった。剣の一撃は魔像に罅を与えたが、それだけだった。石の粉を振り撒きながらまた回転を始める。
崩れた壁の向こうに足場を見つけた。
一か八かフリップパネルを敷き、踏んだ。体が跳ね上がり、ぎりぎり向こうに着地する。魔像は回転しながら追ってきて、床から落ち、下の階の床に叩きつけられて砕けた。
「あっぶねぇ……」
二人の仲間の姿は見えない。本当に先に進んでしまったようだ。
「……んだよ、冷てぇなあ……」
ぼやきながらフリップパネルで元いた場所に戻ると、その先の細い通路を辿った。
ノエルとディアスはメインの通路から外れた、隔離されるようにひっそりと存在する小部屋にいた。クムランの言葉通り、部屋の奥には石碑が立っていた。金箔が塗られており、
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