第十四話 真実
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
同日 役所 執務室
ふしみイナリ
執務室に入ると、目の前の机に火影様が座っていた。その顔は何かを決意したような顔をしていて、そして、少し悲しさを含んでいるように見えた。僕はこの瞬間まで“答えを決めかねていた。“答え”にはyesと答えるしか無いとは思う。自分自身が何者なのか、両親や一族が何を抱えていたのか、そして、何故両親が殺されたのか、それを知る手段は1つしかないのだから。
でも、何となく怖かったんだと思う・・・火影様に言われた“もう何も知らない自分には戻れない”という言葉に。それは何となく、今の、そして今までの、自分を否定するものになるのではないか、と感じたんだ。
でも、部屋に入り火影様の顔を見て“答え”を決めた。火影様も覚悟を決めてくれている、そう感じたから。なら、することは決まっている。
「イナリ、答えを聞かせてくれるかの?」
火影様は僕を見据えて言った。
「答えは・・・覚悟ができました、です。」
火影様は少し目を見開き、その後ゆっくりと目を閉じた。
「わかった・・・では、話そうかの。おぬしの“真実”を。」
「まず、“ふしみ一族”とは何かを話そう。“ふしみ一族”は“お稲荷さま”、つまりは“狐の神様”と契約をした一族の事じゃ。」
火影様は一言一言、ゆっくりと噛み締めるように話し出した。
「契約・・・?」
「そうじゃ。ふしみ一族はかなり古い一族での。木の葉創世時代より以前から存在しておった。我らが“森の千住一族”や“うちは一族”などと同じ位の歴史がある。・・・ただ、彼らは森の千住やうちはと違い、特殊な能力など持たぬ一族で、隠れ里ができる前の、所謂戦国時代に滅亡の危機に晒されたのじゃ。」
「滅亡・・・ですか。」
今現在、ふしみ一族として生き残っているのは、僕だけだと思っている。そのような人をお母さまから聞いた事もないし、あったこともない。
「元々、それほどの大所帯ではなかったが、その争いでだいぶ数を減らしたようだ。それに危機感を抱いた一族は生き残る為に“力”を欲した。それ故に、“お稲荷さま”と契約したと聞いておる。しかし、その契約した経緯はわしには分からんがの。」
「生き残る為に・・・」
確かに、あの時代の争いは色々な勢力が現れては消え、現れては消え、の繰り返しだったとアカデミーで習った。そして、より強いものが生き残り、弱いものが消えていったと。何も持たない当時のふしみ一族はその弱いものであったに違いない。
「そこで次の話での、“青い炎”についてになる。あの炎は“狐火”と呼ばれ、“お稲荷さま”と契約したふしみ一族の特殊能力じゃ。お主が言っておったとおり、あれは自分を中心として放出することで、自分の周りの敵意を感じることができるよ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ