第五章
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」
質素なままでいいというのだ。
「むしろ贅沢過ぎるよ。これ以上望んだら罰が当たるね」
「ううん、そこまで言うのならね」
娘も納得した、こうしてだった。
お婆さんは質素なままで最高の贅沢を楽しみ続けた、そうして安楽椅子に座って編みものをしつつ孫達と一緒にいる猫が編みものに使っている毛糸にじゃれているのを見て目を細めさせて孫達に対して言った。
「幸せだね」
「うん、とてもね」
「マターリョフもいるしね」
孫達もその猫と遊びながら言う。
「猫っていいよね」
「こうして一緒にいるだけで幸せになれるよね」
「幸せは近くに一杯あるんだよ」
遠くにあるものではないというのだ。
「だからね」
「近くを探せばいいんだ」
「幸せになりたいなら」
「そうだよ、近くにあることを頭に入れてね」
そしてだというのだ。
「楽しむんだよ」
「うん、そういうもなんだね」
「幸せって」
「このことをいつも覚えておくんだよ」
毛糸と孫と猫達を見ながらだった、お婆さんは目を細めさせ続けていた。今自分が最高の幸せの中にあることを神に感謝しながら。
ロシアのお婆さん 完
2013・11・23
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