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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第三十三話 残る者たち
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 鎖が軋みを上げながら俺の身体とプレシアとアリシアの身体を支える。
 だがそれとほぼ同時に俺の身体から異音がした。

「ぐっ!」

 当然といえば当然である。
 プレシアとポットの中を満たす液体に入ったアリシア。
 それを身体一つで支えるだけでかなりの負荷だ。
 さらに俺が駆動炉から魔力放出を使い降りてきた勢いも剣で多少減速させたといえ、身体に絡みついた鎖で止めたのだ。
 肋骨が折れるのは当然のこと、二人を支える腕の骨が折れ、筋肉が断裂するのもやむを得ない事であった。

「士郎君! プレシアさん!」
「母さん! 士郎!」

 なのはとなのはに支えられるフェイトが悲鳴を上げる。

「なのはとフェイトは脱出しろ!」
「だけど!」
「早くしろ!」

 折れた肋骨が内臓を傷つけたのか口から血が零れるが構わずに叫ぶ。
 俺の言葉になのはが悔しそうにゆっくりとだが確かに頷いたのが見えた。

「信じてるからね! ちゃんと戻ってきてね!」

 俺にそう声をかけ、フェイトをしっかりと抱きしめ、入口に向かって速度を上げる。
 その時アルフがこちらに来ようとするが

「二人を頼む」

 首を横に振り、静かに言葉を紡ぐ。
 アルフは一瞬迷うもしっかりと頷いて、なのはを追う。
 そんな中、フェイトはなのはの腕の中で見えなくなるまでプレシアを見つめ続けていた。

 それを見届け一安心する。
 少なくともこれでなのは達は大丈夫だ
 その事に安堵する俺に

「私を助けようとするなんてね」
「ふん。せっかく思いが通じたのにお別れというのはな」

 プレシアの言葉に苦笑しながら軽口を叩くが内心では焦っていた。
 ダメージを負った身体。
 通常ならば吸血鬼の修復力により修復されるところだが、修復出来ていない。

 なぜなら

 折れた腕にかかるプレシアとアリシアの重さに
 折れた肋骨に食い込む鎖
 損傷しているところに一番負荷がかかっているのだ。
 こんな状況ではいくら死徒といえども修復できるはずがない。

「士郎! 無事か?」
「何とかな!」

 クロノは俺達を心配してかまだ残っていた。
 もっとも降ってくる瓦礫のせいでまともに近づく事すら出来ないだろうが。

 そんな中隆起した足場によりこちらにすべり落ちてくる一振りの剣。
 その剣は見覚えのある西洋剣。

「……まだ運は尽きてないみたいだな」

 その光景に思わず笑みが零れる。

 まだ無事な左手でアリシアのポットに絡まる布と鎖を握る。

 剣はアリシアのポットの横を通り、虚数空間の底に落ちていく。
 そのタイミングで

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 俺の言葉と共に虚数空間に
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