第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「何ちゅう恐ろしい呪いや」
「道頓堀に入れられたこと怨んでるんか」
「ちょっとないで、それ」
「まずいで、これは」
「幾ら何でも」
今更になって話される、そして。
甲子園にいるカーネル＝サンダースがだ、こうしたことをしているとさえ言われた。
「あのおっさん、阪神の選手のホームランは退けてな」
「ラッキゾーンもないしなあ」
「余計にホームラン出ん様になったしな」
「元々あまり出えへんかったのにな」
「それはいうなや」
阪神は伝統的に貧打線だ、ダイナマイト打線というが二リーグ制になってから打線がよかった時期は本当に僅かだ、その代わりピッチャーはいいが。
「とにかく、それで相手のホームランはや」
「招き寄せるんやな」
「そういえばいつもここぞという時に敵のホームラン出るな」
「防御率ええのにな」
「それでホームランも実はあまり打たれへんのに」
しかし悪い場面で打たれるのが阪神だ。
「結果僅差で負けるけどな」
「全部あのおっさんの呪いか」
「あのおっさんが仕掛けてるんやな」
「何ちゅうおっさんや」
「ほんまこれはまずいで」
「呪いが解けんと優勝出来んで」
「洒落ならんわ」
かなり深刻に思う彼等だった、そして実際に。
優勝を逃しただけではなかった、それからもだった。
助っ人を呼ぶ、だが。
「ディアー何打席連続ノーヒットやねん」
「クールボーとグレン何なんや」
「バースの再来っていつも思うけどな」
「打たんわ、助っ人」
「どいつもこいつも」
彼等はまだよかった、極めつけは。
グリーンウェル、彼はというと。
大枚をはたいて獲得した、しかし。
「あいつ何時来るんや？」
「何か中々来やへんな」
「怪我しとるんか？」
「そうちゃうんか？」
シーズンがはじまっても来ない、そしてやっとゴールデンウィークの時に来て打ってくれたかと思うとこれが。
急に帰った、それで話すのだった。
「すぐ帰ったなあ」
「また怪我したんか？」
「何か狐につままれた気分やな」
「そうやなあ」
皆流石におかしく思い出した、来ると言っておいて中々来ずにしかも後であれこれと嘘の言い訳をする輩の様に思えてきたその頃に。
グリーンウェルは自打球を足に受けて骨折したらしい、らしいというのは本人がそう主張しているからである。
それで引退だ、阪神は折角の大枚が無駄になった。ここで彼等はやっと怒りだした。
「何やあいつは！」
「中々来いひんで来たらすぐ帰ってかい！」
「怪我して引退か！」
「その怪我も怪しいわ！」
「あいつは詐欺師か！」
「これ国際詐欺やろが！」
今も、おそらく阪神の歴史が続く限り永遠に語り継がれる事件であった。
「よっさんも泣いてるわ！」
「ほんまや！」
監
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除