第三章
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だから彼等も今更ながら困った、しかし。
阪神ファンは前向きだ、この前向きさは日頃不況不況と言っているテレビ朝日系でも変わらない。何とである。
朝からだ、満面の笑顔でこう言う程だ。
「阪神来年こそはですよね」
「そうですよね、やっぱり」
「村山さんが監督ですし」
「背番号十一ですよ」
前任者の吉田義男が現役時代の二十三番を永久欠番にしてもらったことは素晴らしい花道として置いておいての言葉だ。
「来年こそはですよ」
「逆転優勝ですね」
チームの再建を飛び越えてだ。
「村山さんはやってくれますよ」
「バースもいますし」
こう話してだ、来年のことに夢を馳せていた。デイリーもそうだった。
これが北朝鮮への賛美報道なら許されないが阪神だからいいとしてもだ。それでもその華やかな希望があった、だが。
バースは帰ってしまった、無念なことに。これでこのシーズンの阪神の運命は決まってしまったと言ってよかった。
村山は確かに頑張った、必死だった。
しかしこのシーズンも最下位だった、翌年の五位が精一杯だった。
ファン達はその有様に尚更だった、あの話をするのだった。
「やっぱり呪いやで」
「ケンタッキーのおっさんの呪いやで」
「カーネル=サンダースのなあ」
「その呪いやな」
「もう間違いないわ」
最早確信するしかなかった、三年続けての惨状では。
しかもだ、それからもだった。
監督は中村勝広になった、だが最早監督を交代してもだった。
負けて負けて負けまくる、どれだけ最下位になったであろうか。
しかし九十二年、まさかの大健闘があった。ここでファン達は遂に呪いが終わったと思い目を輝かせた。
「阪神の夜が明けたで!」
「長い暗黒やったけどな」
「やっと呪いが解けたわ」
「ほんまや、辛かったけどな」
「最下位が続いたけど」
「今年は優勝やな」
「ああ、もう間違いないで」
新庄、亀山、久慈が大活躍した。投手陣も再建されていた。まさに猛虎の復活だった。
優勝を競うヤクルトにも圧倒的優勢だった、勝利は疑い様もなかった。しかし八木のホームランが二塁打になり野村率いるヤクルトが蘇り。
最後の最後でだ、遂に阪神は力尽きてしまった。
甲子園でヤクルトが勝った、まさかの大逆転に燕が舞った、虎は無念の涙を飲むしかなかった。
「何でや・・・・・・」
「あそこで負けるか」
「四十八年の再現やないか」
その頃にはまだ生まれていない若者さえこう言った、昭和四十八年阪神は圧倒的優勢の中で最終戦甲子園で巨人に惨敗し優勝を逃した。この時怒り狂ったファン達がグラウンドに雪崩込み巨人が胴上げ出来なかったのは伝説になっている。
「惜しいとこやったのにな」
「やっぱり呪いは強いか」
「こりゃ洒落にならん
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