第二章
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「過ぎたことはな」
「もうええやろ」
「しゃあないしゃあない」
「日本一になったんやしな」
とにかくこれでだ、全部いいことにしようというのだ。
「バース様みたいってことでな」
「よし、来年や」
かなり強引に来年のことに目を向けるのだった、来シーズンに。
「来年優勝してや」
「そやそや、連覇や」
「阪神の黄金時代再現や」
「絶対にや」
こう言う彼等だった、だが。
世の中は甘くないとよく言われる、そしてそれは阪神タイガースについてもだった。ファン達の夢は儚く消えて。
八十六年はいきなり三連敗だった、開幕から。
そして掛布がデッドボールに当たる、そうして助っ人ゲイルは不調で。
終わってみれば三位、これにだった。
ファン達は落胆した、だがファミスタの強い阪神をプレイしてこう言うのであった。
「まあ今年はなあ」
「連覇できんかったのは残念やけどな」
「来年また巻き返すわ」
「掛布も復活するしな」
「来年また優勝や」
「日本一になるわ」
「バース様も二年連続三冠王やったしな」
このことが彼等の希望だった、バースという絶対の英雄がいることが彼等の心の支えであった。そうしてだった。
来年に思いを馳せる、だが。
やはり世の中は甘くない、八十七年は。
負けて負けて負けまくった、これでもかという程負けた。
何をしても駄目だった、八十五年と同じ顔ぶれに田尾安志まで来ていた、しかしまさに一昨年の優勝が嘘の様に。
阪神は負けまくった、もう誰が見ても順位は明らかだった。
「最下位や！」
「阪神最下位になったわ！」
「何やこれ！」
「ぶっちぎりかい！」
「全球団に負け越しか！」
まさに堂々たる文句なしの最下位だった、非のつけようがないまでの。
このどうしようもない最下位にだ、ファン達の落胆はかなりのものだった。
ここでだ、ようやくこのことが思い出されたのだった。
「なあ、ひょっとしてな」
「ひょっとしてって何や？」
「何かあるんか？」
「ケンタッキーのおっさんを道頓堀に放り込んだのがまずかったんちゃうか？」
このことがだ、言われだしたのだ。既に去年の時点でまさか、という声があがりはじめていた様であるがだ。
「バースに似てるっちゅうてな」
「ああ、あれか」
「あれのせいか」
「あれで阪神最下位かいな」
「そうなってるんかいな」
「そうちゃうんか？」
こう囁かれるのだった。
「やっぱりな、お店の人形さんを一緒に入れたんがな」
「それがまずかったんやな」
「それじゃあ呪いか」
この声が出て来た。
「ケンタッキーのおっさんの呪いか」
「カーネル＝サンダースの」
それではないかというのだ。
「まさかと思うけれど」
「そやったらか」
「あのお
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