第六章
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「死体で見付かった!?」
「首がない!?」
「首なし死体か」
「殺されたのか」
「そうらしいぞ」
こう話す彼等だった。
「何しろ道の裏通りで見付かってな」
「それで首だけがなかったのか」
「どう見たって殺されたよな」
「ああ、誰かはわからないけれどな」
「首がないなんてな」
遺体で見付かり首がない、これでは殺人を疑われるのも道理だ。
しかしだ、殺人にしても容疑者は誰かというと。
「怨みも買ってたからな」
「敵しかいない奴だったからな」
「碌なことしてこなかったからな」
「だからな、容疑者なんてな」
「それこそどれだけいるか」
「俺達にしろ疑われる要素があるしな」
会社の者達もだった、粗暴でしかも金に汚く女好きのハラロスは彼等にも迷惑をかけて生きていた、特に女性社員にはだ。
だから容疑者は多かった、しかしだった。
彼等は皆アリバイがあった、会社の他の容疑者達もだった。
皆シロだった、首にしても切断されたのではなく何かすうっと消えた感じでなくなっていた。そこも謎とされた。
やがてこの事件は容疑者不明のまま迷宮入りとなった、誰もがこのことについてほっとした。それは何故かというと。
「嫌な奴がいなくなってよかったよ」
「ああ、清々するよ」
「本当に最低な奴だったからな」
「あいつがいなくなってよかった」
「やれやれだよ」
「これであいつに怯えなくて済むよ」
誰も彼の死を喜んだ、だから容疑者が見付からなくてもよかった。ハラロスの首も見付からなかったがこのこともどうでもよかった。
だが、だ。ハラロスを殺した者が誰か、そして首の行方を知っている者もいた。あのインディオの老婆は月のない夜に彼女が住んでいる街の居酒屋、そこの屋外の席で玉蜀黍の酒を飲みつつ声を聞いた。
「チョン、チョン」
「チョン、チョン」
「おや、いるね」
共に飲んでいる馴染みの女にこう言った。声の方に顔を向けて。
「チョンチョンが」
「ああ、婆さん見えるんだったね」
「そうだよ、新しいのもいるよ」
チョンチョンの中にだというのだ。
「今夜はね」
「そうなんだね」
「やれやれだね」
ここでこうも言った老婆だった。
「こうした形で再開するなんてね」
「知っているチョンチョンかい?」
「ちょっとね」
こう返した老婆だった。
「縁があってね」
「婆さんチョンチョンが見えるからね」
「見たくて見えるものじゃないさ」
そこはというのだ、飲みながら。
それでだ、こう言うのだった。
「全く、馬鹿なことをして」
「馬鹿なこと?」
「こっちの話だよ」
その愚行が何かは言わなかった、そのうえで彼女だけが見えるチョンチョンの中の一匹を見ていた、そのチョンチョンはというと。
ハラロス
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