第八章
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「連中もな」
「口では立派なこと言うがな」
「それでも実際は虫と同じなんだな」
「プロレタリアだの革命だの言っても」
「その実態は」
「そうだろうな、まあ馬鹿をしたらな」
彼等が暴動なりテロを起こしたらというのだ、その時は。
「捕まえるか」
「ああ、その時はな」
「俺達の仕事だな」
「連中はすぐに馬鹿をやるからな」
暴動なりテロなりをだ、暴力革命を掲げ実際にゲバ棒や火炎瓶を手に暴れ回っているのだ。これでは警察として放ってはおけない。
「何を言ってもいいがな」
「暴れることはな」
「ちゃんと自分の意見を言えないのかね」
「すぐに暴力に訴える連中だからな」
「しかも他人の意見はちょっとでも違うと絶対に認めない」
まさに本多達の特徴だ、自分達は気付いていないが。
「本当に面倒な奴等だ」
「何処が民主主義なんだ」
彼等は自分達こそ民主主義者だと思っている、だがその実体はというのだ。
「他人の意見は認めろ」
「認められなくても暴力で否定するな」
「それで俺達が暴力を止めたら弾圧とか言うからな」
「全くふざけた奴等だ」
「とんでもない連中だ」
こう話すのだった、公安の者達は。
それでだ、彼等はやれやれといった顔でこんなことも言った。
「あの連中が世の中に出たらどうなるかね」
「さあね、自分達の馬鹿さ加減に気がつけばいいが」
「気付かないとあのままだからな」
「馬鹿が馬鹿のまま世に出る」
「本当に参るよ」
「どうしたものだよ」
こう話すのだった、そのうえで。
彼等は彼等の仕事をするのだった、大学で暴れる学生達を監視していた。
しかし本多はその彼等に対してだ、大学の校庭で高らかに糾弾で応じた。
「当局は!我々の!」
今では彼一人だ、竹紙も佐田鹿も衝突の結果喧嘩別れしてそれぞれの組織に分裂した。彼は今も委員長だったが。
一人で主張していた、そして今では敵同士になっている竹紙や丘留達と顔を合わせば殴り合いをしていた。昭和四十年代のある大学での話だ。
コミューン 完
2014・1・29
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