第五章
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彼等に反論する、その反論は適当な理由を挙げて丘留達にレッテルを貼るものだった。しかし彼の声は大きく尚且つやたらと丘留達を資本主義に堕落しているだの帝国主義者だの反動だのと定義付けた。そこを周りに強調した。
するとだ、聞いている者達もだった。
本多の声の大きさもあってだ、彼の主張に頷いてだった。
口々にだ、丘留達を批判するのだった。
「そうだ、御前達が間違っている!」
「御前達は反動だ!」
「帝国主義に染まっている!」
「保守反動勢力だ!」
「米帝の犬だ!」
こう口々に攻撃して丘留達を糾弾する、彼等以外の全員に糾弾されてはだった。
丘留達も手がなかった、それで。
お互いに顔を見合わせてだ、こう話すしかなかった。
「どうにもならないな」
「ああ、これはな」
「俺達は去るしかないぞ」
「俺達だけでな」
「そうするか」
「ああ、わかった」
丘留もだ、苦々しい顔で彼の周りにいる面々の言葉に頷くしかなかった、それでだった。
忌々しげに場を後にした、こうしてだった。
本多は丘留一派を追放した、そのうえで竹紙と佐田鹿に言うのだった。
「これで反動主義者はいなくなった」
「ああ、俺達の敵がな」
「いなくなったな」
「裏切り者は出るからな」
本多は鋭い顔と目で言った。
「どうしてもな」
「革命の中でな」
「絶対に出るな」
「トロッキストが出る」
ソ連にある言葉だ、スターリンの政敵トロッキーの名を冠した言葉であり共産主義の裏切り者という意味である。
「だからな」
「中にも気をつけないとな」
「駄目だな」
「ああ、これからもな」
こう言ってだ、そしてだった。
「革命を進める為に」
「内部にも目を光らせよう」
彼等はこう言うのだった、そしてだった。
今度は假屋がだ、こう言ったのだった。
「壁新聞を出しているがな」
「俺達のか」
「そうだ、俺達の壁新聞にな」
こう彼は提案するのだった。
「漫画を出さないか」
「漫画?」
「ああ、漫画をな」
本多に対して提案する。
「そうしないか」
「何故漫画だ?」
「漫画で俺達の理念をわかりやすく説明するんだ」
これが彼の主張だった。
「漫画は文章よりもよく読まれているな」
「最近な」
本多は假屋の言葉に不機嫌な顔で返した。
「そうだな」
「ああ、だからな」
それでだというのだ。
「俺達も壁新聞に漫画を載せるか」
「それが同志の考えか」
「そう思うがどうだ?」
「考えさせてくれ」
ここでもまずはこう返した本多だった。
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