第四章
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「皆ここにいるわね」
「ううん、そういえば御飯を食べる時は」
「猫ちゃん達も皆いるでしょ」
「うん、御飯を食べ終わっても」
猫ちゃん達がそうしてもです。
「皆いるわね」
「そうよね、いつもね」
「朝も晩も」
お休みの日のお昼もです。
「皆いるわね」
「そうよね」
「全く、どうしてかしら」
香菜ちゃんはこのことに首を傾げさせました。
「邪魔になるのに」
「邪魔なだけ?」
ここで、です。お母さんは思わせぶりな笑顔になって香菜ちゃんに尋ねました。
「それだけ?」
「ううんと、そうでもないけれど」
「そうよね、じゃあいいわね」
「うん、それじゃあね」
香菜ちゃんはこの時はお母さんの言葉に頷いて御飯を食べるだけでした。今はまだ気付いていないままで。
こうしたこともあってある休日の日のことです、コタツに入ったままお母さんと二人でDVDを観ていました。お父さんとお姉ちゃん達はそれぞれの用事でお外に出て今お家にいるのは二人です。
二人でアメリカの海賊の映画を観ていました、最初コタツにいるのは二人だけでしたが。
やがてシロが来ました、次にミケとトラも。
そして他の猫ちゃん達もどんどん来てです、十二匹の猫ちゃん全てがコタツのところに揃ってしまいました。
コタツの上や中、お布団のところにそれぞれいます、香菜ちゃんはDVDと一緒にその猫ちゃん達を見て微笑んで言いました。
「皆来たのね」
「すぐに来たわね」
お母さんも微笑んで応えます。
「本当に」
「そうよね、すぐだったね」
香菜ちゃんはお母さんのその言葉にも応えました。
「あっという間にね。いつもこうなのよね」
「そうでしょ、いつもですよ」
「家族がいる場所にいるんだから」
それで、です。こうも言った香菜ちゃんでした。
「私達が誰もいない場所からはすぐに出るし」
「猫ちゃん達はね」
「家族が好きなんだから」
こう言ったところで、です。香菜ちゃんははっとしました。
それで、です。こうお母さんに言いました。
「あの、前に猫ちゃん達を見ていたらわかるってお母さん言ったじゃない」
「ええ、言ったわ」
そうだとです、お母さんは優しい笑顔で答えてくれました。
「確かにね」
「そうよね、つまり猫ちゃん達って」
「家族がいるところにね」
「来るのね」
「そうよ、それが何処でもね」
「そういえばお家に私しかいない時は」
そうした時もあります、そしてその時はなのです。
「皆私のところに来てくれて」
「香菜ちゃんが何処にいてもよね」
「うん、皆ね」
来てくれるのです、十二匹全部が。
「来てくれるわ」
「そうなの、猫ちゃん達はそうなのよ」
こう笑顔で言うお母さんでした。
「家族のいるところに来るのよ」
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