第十一話 幼児期J
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とコーラルは現在家の一室にいる。ここは書庫というか物置のようなところで、本棚や研究資料の一部、洋服なども置かれている。寮にしてはなかなかの広さがあるため、余った部屋の使い道がこんな感じになったのだ。
母さんが調べ物をする時とかによく使っているが、俺たちはあまり入ることはない。入ってはいけないとは言われていないので、時々本を借りに来たり、かくれんぼで遊ぶのに使わせてもらっている。
そんな一室に俺たちはこうして度々集まっている。それもアリシアとリニスを先に寝かせ、母さんの帰りが遅い時を見計らってである。やっぱ密談にはこういう雰囲気が大事だよね。暗がりの狭い部屋って内緒話に最適です。
「いつもは打倒リニスの会議だが、今日は報告会だからな」
『いつもがそれって、ますたーもなんだかんだで暇人ですよね』
それに付き合ってくれるお前もな。
「俺だってそこまで馬鹿じゃない。リニスとガチンコしても、今の俺では勝てないだろうということはわかったさ」
『苦節約3カ月間でようやくですか』
だけどな、俺は気づいたんだ。相手と戦う場合に最も大切だったことは何なのかがな。初歩的なことを忘れていたのさ、俺たちは。
「あいつらと同じだ。強大な敵相手には、まず情報を集めることが重要だったんだ!」
『上層部=ねこな扱いって…』
「ゆえに俺はまず知ることにしたんだ! そのための情報入手も抜かりないしな。まずは一般知識から探ることにしたんだ」
そう言って俺は、先ほどの返信メールの内容をスクロールして続きを読む。俺の行動に疑問符をつけながら覗きに来たコーラルはメールを読み、固まった。
『……あの、ますたー』
「どうした? …ふむ、なるほどな」
『なるほどな、じゃないですよ。とうとうマイスターまで巻き込みましたか』
メッセージの本文には山猫に関する情報が載せられていた。自然豊かな地域で育った猫は、家猫になっても本来の習性に則って、野猫のように狩りをすることがあるとかなんとか。猫の習性についてはなんとかかんとか。すげぇ、めっちゃ詳しい。
「わからないことは素直に聞くのが一番」
『ましなこと聞いてあげてよ。マイスターもスルーすればいいのに、変にまじめな方だから…』
そんな哀愁漂うなよ、コーラル。ほんとにまじめが空回りする人なだけなんだからさ。
「……あ」
スクロールし続け、俺はメッセージの最後の一文を見つけた。それは、俺が送ったメッセージの返答。無茶で理屈もあやふやなあるお願いの答え。
『例のことだが、わかった。私なりに協力する』
ただ1行。俺は何故と返すだろうと考えていた返事に、了承がもらえるとは思わなかった。こんな推測ばかりな話に、5歳の子どもの言葉なんかに了承してくれ
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