第十一話 幼児期J
[6/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だろうと思っているからだ。
「よーし、お兄ちゃん達が秘密にするなら私だって…」
「にゃう?」
「私ね、お兄ちゃんをびっくりさせちゃうの!」
アリシアはいい考えだ、と思いついた方法に何度もうなずく。アルヴィンの隠し事が気にならない訳ではないが、それを詮索しようとする気はアリシアにはなかった。調べたら兄は困る。それがわかるから、アリシアは別の方法で意趣返しをしようと考えたのだ。
「……困らせちゃうぐらいなら、お兄ちゃんがうれしくなるびっくりを用意してあげるの。だからリニス、お兄ちゃんにもコーラルにも内緒だよ」
「ふー、うにゃ!」
「えへへ、ありがとう」
アリシアはぎゅっとリニスを抱きしめる。アリシアにとっても兄の顔を見るなら、やっぱり笑顔がいい。少女はサプライズに驚く兄を想像しながら、楽しそうに笑った。
******
『ますたー、これが先ほど届いた返信です』
「サンキュー。前に相談したことかな、どれどれ?」
俺はコーラルが受け取ったメッセージを画面に出し、読んでいく。今も続くリニスとの仁義なき戦いをしている間も、俺たちはいつも通り遊んだり、情報収集を行っていた。それと同時に、俺はあの人にメッセージも送っていた。
『マイスターは、元気そうですか?』
「あぁ、元気そうみたいだぞ」
コーラルの問いかけに、返信された文面を読みながら答える。前文には俺たちを心配する心情と、向こうのことについて簡単に書かれていた。仕事一筋なところのある人だから、健康面がこちらも心配だったが大丈夫そうかな。
コーラルも2人によって作られたから、親みたいなものだしな。俺の言葉を聞いて、どこかほっとしているようだった。
『それはよかったです。マイスターって常識人っぽい方ですけど、実は結構色々ずれている人ですからね』
「この前仕事に熱中し過ぎて、栄養失調、睡眠不足のまま工房に籠りっきりみたいだったからな。さすがにやばいと感じた仕事仲間の人が、俺に連絡してきた時はびっくりしたな」
『あれ結局どうしたのですか?』
「とりあえず関係者の方に許可をもらって、転移して空中突撃して眠らせた。仕事仲間の人が何度言っても効果がないから、俺にお鉢が回ってきたんだしな。次こんなことがあったら、アリシアと母さんの秘蔵写真もうやらないぞって言ったら、土下座して謝っていたかな」
『ますたーもマイスターも相変わらずですね…』
メッセージにはちゃんとご飯も睡眠も取っていると切実に書かれていた。そこまで写真欲しいのか。
「……今度動画でも送ってあげようか」
『……わぁ、ものすっごく喜ばれそうです』
こういうことに対するテンションは、2人とも似た者同士だと思うよ。
さて、俺
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ