第十一話 幼児期J
[5/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
俺の言葉に仕方がないわね、というようにリニスは一声鳴いた。リニスは何となくだろうが、俺たちが何かをしているのに気付いているのだろう。アリシアの傍まで行き、抱っこされると寝室へ向かおうと妹に向かってもう一鳴きしていた。
最初はこんな風にばらばらに寝ることはしていなかったが、リニスが来てからは時々アリシアと一緒に寝てもらっている。5歳になった今、俺自身やらなければならないことがある。足りない時間を夜に使うようにしたのだ。
リニスとの戦いは未だに継続中だが、それなりに認識はしてもらっているらしい。だって挨拶してくれるようになった。まじで嬉しかったです。
やっぱり上層部闇討ちでちょっと仲良くなったからかな。俺が転移でリニスを運んで、俊足のもとに無慈悲に毛刈りを行い、認識される前には風のように去っている。まさに辻斬りカット。転移させる時に、ちょっともふっと出来るのが幸せです。
「俺も少ししたら寝るからさ」
「むー、わかった。……お兄ちゃんだってお寝坊さんしてお母さんに笑われても知らないからね」
「ありゃ、それは手厳しい。その時はフォローをお願いします」
「やーだ」
アリシアの返事にガーンって効果音がついた様な顔をすると、くすくす笑っていた。ちょっといじられたらしい。だって俺がジト目で見ると、妹は舌をペロッと出してきた。まったく誰に似たんだか…。
「それじゃあ、おやすみ! お兄ちゃん、コーラル!」
『はい、おやすみなさい』
「にゃー」
妹はそのままいたずらっ子な笑みのまま寝室へとパタパタと入っていった。なんか素直でかわいい妹であることは変わらないが、こうやって俺にいたずらするぐらいにはなったらしい。成長かな、と思うと微笑ましくなる。
だから、これからもずっと…。
「コーラル、行くぞ」
『えぇ、ますたー。でも、後で本当に問題集は終わらせましょうね』
「……やーだ」
『はいはい。今日は化学式の勉強ですから』
アリシアの真似をしてみたが、現実は厳しかったです。
******
「……私じゃ、何も出来ないのかな?」
「にゃ、にゃにゃ」
寝室に入り、ベットに身体を沈ませたままアリシアはぽつりと呟いた。リニスはそんなアリシアに寄り添いながら、手で肩をぽんぽんっと叩いている。少女は仰向けになり、白い天井を眺めた。
「にゃーにゃ」
「そんなことないって? でもお兄ちゃん達なんか隠し事してるもん」
アリシア自身なんとなくでしか答えられないが、おそらくそうだろうと思っている。たぶん2人で何かしている。仲間外れにされたようでアリシアとしては面白くなかった。それでも質問しないのは、アルヴィンなら笑って誤魔化すか、困った顔でごめんと謝って来るだけ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ