第三章
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今もです、香菜ちゃんが晩御飯を食べようとすると。
その席にクロがいました、クロはそこがまるで自分の場所であるかの様に丸くなって寝そべっています。
そのクロを見てです、香菜ちゃんは言いました。
「何でクロがいるのよ」
「ニャア?」
「ニャアじゃないわよ」
クロにむっとした顔で言い返します。
「これから座るんだからどいても」
「ニャア」
「だからニャアじゃないの」
丸くなったまま自分の方を見上げているクロに言います。
「どいてよ、これから御飯を食べるんだから」
「ニャン」
「ニャンじゃなくてね」
「ああ、御飯あげたらどくわよ」
上のお姉さんの陽子ちゃんが言ってきました。陽子ちゃんも唯ちゃんももう自分の席に座っています、お父さんとお母さんもです。
「クロはまだ食べてないのよ」
「じゃあ今からクロに御飯をミルクをあげたら」
「そう、そこをどくから」
「全く、今日もなのね」
実はこうしたことはこの時だけではありません、しょっちゅうなのです。
「昨日はミケで今日はクロで」
「私の椅子もそうだったから」
陽子ちゃんは御飯を食べながら香菜ちゃんに言います。
「私のところにはブチがいたわよ」
今自分の足元にいる白地に黒いブチがある猫を見て言います。
「この子がね」
「ブチも悪い子だからね」
「そう、御飯をミルクを食器に入れたらどいたから」
「わかったわ、じゃあクロにも御飯あげるわね、さっきあげたばかりなのにおねだりする時はいつもこうしてくるんだから」
「困るわよね」
「かなりね」
実際にそうだと言う香菜ちゃんでした。
「いつもいつも」
「仕方ないわよ、猫なんだから」
下のお姉さんの唯ちゃんも言ってきます。
「私も朝そうだったし、トラがね」
「唯お姉ちゃんはトラだったのね」
「猫は我儘なのよ」
唯ちゃんもこう言いました。
「だからこうしたこともね」
「当然のことなのね」
「そう、じゃあクロのおねだりに応えた後でね」
「席に着くわね」
お姉さん達に応えてからです、そうしてでした。
香菜ちゃんは自分の席に座ることが出来ました、そして席に着いてテーブルの周りを見てみますと。
お家の猫ちゃん達が全部います、十二匹全部です。
寝転がったり御飯を食べていたり歩いていたり座っていたりとしていることは様々です、ですが皆います。
その猫ちゃん達を見てです、今度はこう言った香菜ちゃんでした。右手にはお箸、左手にはお椀があります。
「皆コタツのところにもベッドのところにもいないのね」
「ええ、そうよね」
お母さんが香菜ちゃんに応えます。
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