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コタツの中の猫
第二章
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「毎年冬になったらこうなるけれど」
「それは暖かいからよ」
 だからだとです、お母さんもコタツの中に入りながら答えます。ですが足を入れるとコタツの中にいた猫ちゃんの一匹に当たって。
「ウニャッ」
「あっ、御免シャムちゃん」
「ニャニャッ」
 コタツの中から猫の怒った声が聞こえてきました、明らかに咎める声です。
 中を見るとシャム猫がいます、茶色の毛の猫もです。
 香菜ちゃんの周りにはスコティッシュフォールドとペルシャ猫がいます、どっちの猫ちゃんもとてもくつろいでいます。
 そしてお母さんの周りにはです、アメリカンショートヘアとマンチカンがいます。テーブルの上にはでんと猫達の中で一番大きい太った灰色の毛の猫がいます。
 その猫を見ながらです、お母さんは香菜ちゃんに言います。
「だからなのよ」
「コタツが暖かいからなのね」
「猫ちゃんは夏は涼しくて冬は暖かい場所が好きなのよ」
「だから冬はコタツに集まるのね」
「そうよ。ただね」
「ただって?」
「よく見ていたらわかるわ」
 ここでお母さんはにこりと笑ってです、香菜ちゃんにこんなことを言ってきました。
「面白いことがね」
「面白いことが?」
「そう、わかるわ」
 こう言うのでした。
「よく見ているとね」
「それってどういうことなの?」
 香菜ちゃんはお母さんの言っている意味がわかりませんでした、それで首を傾げさせてお母さんに尋ねました。
「一体」
 するとです、灰色の猫も香菜ちゃんを見て同じ様に首を傾げさせました。
「ニャア?」
「ボスも不思議がってるけれど」
「そうね、けれどね」
「それがわかるのよ」
「猫ちゃん達をよく見ていたらね」
 そうしたらというのです。
「それで余計にこの子達が好きになるから」
「ジョンにマイキーに」
 ショートヘアとマンチカンを見ての言葉です。
「ヘンリーとフランソワに」
 今度はスコティッシュフォールドとペルシャを見ます。
「後はシャムに茶に」
 コタツの中にはさっきお母さんが足を当ててしまったシャム猫と茶色の猫がいます。そしてその他にもです。
「シロ、クロ、ミケ、トラ、ブチ。皆いるわね」
「コタツだと余計に集まるけれどね」
「それでもなのね」
「そうよ、見ていればわかるから」
 この猫ちゃん達をだというのです。
「面白いことがね」
「そうなのね」
「よく見ているとね」
 そうなるというのです。
「だから見ておくのよ」
「わかったわ、それじゃあね」
「ヒントはね。猫ちゃんは我儘だけれど」
 このことは家の皆が知っていることです、猫という生きものはとにかく我儘で自分勝手に生きているものです。
「それでもなのよ」
「違うの?」
「そこは見ていればわかるわ」
 香菜ちゃんへの
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