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オリーブの祝福
第五章
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「楽しく過ごしましょう」
「ええ、それじゃあね」
 二人で笑顔で話す、そしてだった。
 カテリーナとシャハラザードは友人同士となった、二人で共に様々なことを話し様々な場所に行き楽しい時間を過ごした、だがその中でも。
 やはり気になることはお互いの祖国のことだった、シャラザードは朝のテレビのニュースを自分の部屋で観てから学校でカテリーナに尋ねた。講義の前のコーヒータイムの場で。
「ねえ、朝のニュースだけれど」
「また、よね」
「ええ、またよね」
 シャハラザードは大学の喫茶店の中でカテリーナに言うのだった。
「本当に」
「今度はパレスチナがね」
「ええ、イスラエルを批判しているわね」
「パレスチナへのイスラエル市民の移住のことでね」
「また批判しているわね」
「それでね」
 批判だけではない、この両国の関係はそれでは済まないのだ。だからカテリーナは溜息と共に言うのだった。
「イスラエルもね」
「すぐに反論するわね」
「ええ、それでね」
 そのうえでなのだ、常に。
「最悪の場合は」
「衝突よね」
「テロが起こるかも知れないわ」
 この危険が付き纏うのだった、イスラエルとパレスチナの関係は。
「だからね」
「不安よね」
「テロが起これば」
 もうパレスチナ側の代表はテロは行わない、パレスチナ解放機構は政府として変わろうということになって久しい。
 だが、だ。それでもなのだ。
「お互いにいるからね、過激派が」
「テロが起これば」
 どっちが仕掛けても違わなかった、この場合は。
「相手も反撃してね」
「血が血を呼んで」
「お互いに酷いことになるわ」
「これまで通りね」
 その流れがわかっているからだ、二人は今心から憂いているのだ。
 話を出したシャハラザードはここでだ、こうカテリーナに言った。
「ねえ、私の家族は」
「多分だと思うけれど私の家族もよ」
「テロを恐れていて」
「皆そうよね」
 どちらの国民もだ、このことは。
 しかしだ、それでもなのだ。
「お互いに憎み合って。罵り合って」
「殺し合って」
「そうして血が血を呼んで」
「人ばかりが死んで」
 その対立の中でだ、残るものはというと。
「壊れた建物、倒れた人達」
「そして対立を煽る人達がいて」
「乗る人達がさらに動いて」
 二人で言っていく、朝の日差しは眩しいがそれでもだった。
 二人は今は沈んでいた、その中出さらに言うカテリーナだった。
「ねえ、私達ってね」
「私達は?」
「友達になれないのかしら」
 こうシャハラザードに問うのだった。
「どうしても」
「それは」
「どうなのかしら、イスラエルとパレスチナは」
 こう問うのだった、シャハラザードに。
「お互いに」
「私達は友達だけれど」
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